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神々の塔
第五十二話 名前その十三

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「しっかりとな」
「やっぱりそれがええですね」
「うむ、それでこれから仲間達とな」
「すき焼きですか」
「いいのう、人を喰らうなぞ気が知れぬ」 
 酒呑童子はこうも言った。
「美味いとも思えぬわ」
「そうですか」
「鬼でもな」
 よく人を喰うがというのだ。
「その実はな」
「人を喰らう鬼はですか」
「滅多におらん、相当頭のおかしな」
 そうしたというのだ。
「連中じゃ」
「人と同じく」
「人を喰らう人もおるであろう」
「頭がおかしいのが」
「それもかなりじゃな」
「どの国でもです」
 よく人を喰らうことがあると言われる国でもだ、人を喰らう即ちカニバリズムが普通にある国も存在しないのはこの世界でも同じだ。
「かなり餓えてるか」
「頭がおかしくないとだな」
「喰いません」
「それは鬼も同じじゃ」
「猪とか鹿の方がですか」
「好きに決まっておる」
 まさにというのだ。
「そこは言っておくぞ」
「そうですね、やはり」
「うむ、それで今からな」
「すき焼きですか」
「それを喰う、ではお主達もな」
「はい、宿屋で乾杯します」
「そして美味いものを喰うな」
 中里に笑って話した。
「そうするな」
「これから。まだ何を喰うか決めてへんですが」
「そこはお主達の好きな様にな、ではこれからもな」
「この塔をですね」
「踏破していけ、よいな」
「そうしていきます」 
 中里は笑顔で応えた、そうしてだった。
 戦士達は今は息抜きに入った、鬼達との戦を終えて宿屋で彼等と同じくすき焼きを食べて日本酒を飲んで楽しんだのだった。


第五十二話   完


                   2023・12・1
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