第百十二話 二つの祭りその十五
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「それでね」
「皆水着になるな」
「そうよ、わかっていない人は」
「一人もいないか」
「成海っちもしてるでしょ」
本人に直接問いもした。
「そうでしょ」
「それ言わないと駄目か」
「いや、いいけれど」
「じゃあ言わないな」
これが成海の返事だった。
「言うことじゃないしな」
「それじゃあね」
「ただな
それでもとだ、成海はかな恵に言った。
「そこで自分も使われてるって思ってるだろ」
「ええ、そこは」
「そのことも言わないからな」
返事は意固地な感じのものだった。
「それもな」
「言わないのね」
「また言うけれどな」
こう前置きして言った。
「言うことじゃないからな」
「それでよね」
「ああ、言わないからな」
絶対にというのだった。
「それでもいいよな」
「それじゃあね」
「ああ、しかしな」
「しかし?」
「こういうこと話すってな」
二人でとだ、成海は今しみじみと思ったのだった。
「俺達って相当な仲だな」
「そうね、手を繋いでおんぶもしてもらってるし」
「結構だな、けどな」
それでもというのだった。
「キスそしてそこから先はな」
「高校卒業してからね」
「そうしような」
「成海っちが言うならね」
「別にそれでもいいよな」
「私はね」
「それじゃあな」
「うん、それじゃあお昼終わったし」
二人共食べ終えた、それでかな恵は言った。
「これから図書館行かない?」
「図書館?」
「そう、実は面白い雑誌見付けたの」
成海に笑顔で話した。
「スポーツ雑誌でね」
「そっちか」
「週刊八条リーグね」
「ああ、八条リーグな」
日本のプロ野球機構の一つだ、八条グループのそれぞれの企業が親会社となっているチーム同士で構成されている。リーグといってもそこのセリーグやパリーグの様にリーグは複数ありペナントも行われている。
「あそこの雑誌か」
「これがまた色々な選手の人紹介されててね」
「いい選手いるか」
「誰がメジャー行くかとか」
「そうした話も載ってるんだな」
「ベースボールマガジンみたいな感じね」
この雑誌の様なというのだ。
「公平だしまんべんなくね」
「色々なチームが紹介されてるか」
「だからね」
それでというのだ。
「面白いから」
「それ読みにか」
「行こう」
成海に笑顔で言った。
「それ読みにね」
「それじゃあな」
成海は微笑んで応えた、そうしてだった。
弁当箱を収めて二人で立ち上がって一緒に商業科の図書館に行った、そうしてそのうえでその雑誌を読むのだった。
第百十二話 完
2023・12・1
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