第百十二話 二つの祭りその十三
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「それでも人から嫌われることはね」
「それ自体嫌だしな」
「家族からだとね」
それはというのだ。
「もうね」
「嫌だよな」
「ええ」
実際にと言うのだった。
「本当にね」
「だったらな」
「服には気を付けて」
「見えない様にしろよ」
「そうしていくわ」
「あいつ結構な」
「そうしたところ嫌がるのね」
成海の話を聞いてしみじみとした口調で言った。
「そうなのね」
「そうなんだよ」
「それは知らなかったわ」
「姉弟でもか」
「ええ、けれどわかったから」
「気をつけていくな」
「そうするわ、しかし案外透けたり見えるのね」
ここでだ、かな恵は考える顔で言った。
「油断したら」
「ああ、俺だってな」
「成海っちもの」
「言われるしなズボン穿いててな」
その時にというのだ。
「腰で穿いてるからな」
「あっ、トランクス見えてる時あるわ」
かな恵は成海本人に思い出した顔で答えた。
「実際にね」
「そうだよな」
「うん、ちらりとね」
「見せる気ないからな」
成海はそこは断った。
「俺も」
「そうよね」
「ああ、しかし何でトランクスってわかったんだ」
「あれっ、違うの」
「いや、実際俺トランクス派だけれどな」
このことは事実だがというのだ。
「ボクサーって可能性もあるだろ」
「いや、明男がトランクスだから」
「あいつと同じってか」
「思って言っただけよ」
「そうだったんだな」
「ちらりと。上の部分が見えただけだけれどね」
それでもというのだ。
「やっぱりそうだったのね」
「まあな。俺ボクサーはな」
「好きじゃないの」
「トランクスのゆったりさがな」
そうした穿き心地がというのだ。
「好きなんだよ」
「そうなのね」
「ブリーフは絶対嫌だしな」
「それ明男も言うのよね」
「どっかのゴルゴさんみたいにな」
とある漫画の主人公のことも話した。
「嫌だしな」
「そういえばあの人ブリーフよね」
「あんな変な人みたいだってな」
「確かに滅茶苦茶変よね」
「人が後ろに立つと殴るからな」
そうした習性があるのだ、ただしこのことが作中で役に立ったことは一度もなかったりする。つまり無駄な能力ということか。
「どうやって生活してるんだよ」
「すぐに捕まるわよね」
「そんな癖あったらな」
「それ以外にも変なところあるわね」
「だからあの人みたいになるのはな」
「嫌なのね」
「ああ、それにブリーフってな」
この下着のことをさらに話した。
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