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星河の覇皇
第八十五部第四章 メキシコの思惑その五十七

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「そもそも人に好かれようとは思っていなかった様だ」
「ですね」
「権力ばかり追い求め」
「漁色家でしたが」
「それでもでしたね」
「友情、腹心そうしたものはです」
 周りも言う。
「求めていませんでした」
「全く」
「そうでした」
「ああした人間はナチスでも他におらず」
 そしてというのだ。
「ソ連でもな」
「スターリンも異常と言えましたが」
「それでもですね」
「あの国でも」
「そうした人間はだ」
 ハイドリヒの様な人物はというのだ。
「そうそうだ」
「いなかった様ですね」
「スターリンはいても」
「それでもでしたね」
「そうだった」
 まさにというのだ。
「まさにな」
「左様でしたね」
「実に」
「そこまでは、でしたね」
「スターリンも異常だったしベリヤもだ」
 この彼もというのだ、スターリンをしてソ連のヒムラーとさえ言われた様な人物で病的な幼女嗜好者だったと言われている。
「異常だったが」
「それでもですね」
「ハイドリヒの様に人間味が殆どない」
「そうした人物は流石にですね」
「あのソ連でもスターリン位でしたね」
「ベリヤを挙げたがベリヤは外道であってもだ」
 それでもというのだ。
「まだ、な」
「人間味があった」
「そうでしたね」
「流石にハイドリヒと比べると」
「そうでしたね」
「ベリヤも警官になってはいけないがな」
 職権を濫用し政敵を次々に抹殺しかつ幼女を手籠めにした直後家族ごとシベリアに送る様な輩はというのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「あくまで程度の問題にしても」
「ハイドリヒと比べると」
「まだ、ですね」
「ハイドリヒは危険過ぎた」
 この男はというのだ。
「だから警官にしてもいけない、また世にいるとな」
「それだけで、ですね」
「頭角を表しかねない」
「そうした人物ですね」
「恐るべき才能を持った人物は何があって何処にいてもだ」 
 例えそれが専門外の分野でもだ。
「必ずだ」
「頭角を表す」
「そうしてきますね」
「何処にいても」
「それでもですね」
「そうした人物に人格が備わっていればいいが」
 それでもというのだ。
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