最終話 素敵な想い出その一
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最終話 素敵な想い出
里帰りしてだ、咲は母に言った。高校時代より大人びていて黒髪は長いままだがセットしている、メイクも熟練したものになっていて色香もある。
動きやすいスラックスにセーターそれも上下共地味な色だ、母はその色を見て言った。
「あんた結婚してからずっとね」
「地味な色だっていうのね」
「折角スタイルいいままなのに」
それなのにというのだ。
「地味ね」
「スタイルってこれでお腹にね」
咲は自分が高校時代の時と比べて幾分皺が増えた母に笑って話した。
「花が生まれてからね」
「お肉ついたの?」
「もっと言えばお腹だけでなくてね」
「全体的になの」
「そうなってきたわ、私基本スポーツしないしね」
このこともあってというのだ。
「少しずつね」
「そうは見えないけれどね」
「見えないだけでね」
その実はというのだ。
「そうなのよ」
「そうなのね」
「それでね」
咲はさらに言った。
「結婚したら家事に育児にで」
「お洒落もなの」
「してる暇なくて安くて長持ちする」
「お母さんもそうだったけれどね」
「でしょ?もうそうした服ばかりよ」
母に笑って言うのだった。
「買ってるのよ」
「だからそうした服なのね」
「せめてメイク位はしてるけれど」
それでもというのだ。
「外出の時だけで普段はね」
「すっぴんなのね」
「パートに出る時もうっすらでね」
「パートね」
「お金ないとね」
そう考えてというのだ。
「そっちもはじめたの」
「そうしたのね」
「ドラッグストアでね」
「高校と大学でやってたお店じゃないの」
「占いの?あそこじゃないわよ」
「そうなのね」
「今も渋谷で人気のお店だけれど」
それでもというのだ。
「新しい娘が行った方がいいと思ってね」
「行ってないのね」
「そうなの」
こう母に話した。
「あそこにはね」
「若い娘ね」
「高校の時の私みたいにね」
「そう考えてるのね」
「そうよ、それでお父さんは?」
今度は父のことを話した。
「モコのお散歩に行って」
「多分公園にいるわよ」
「そうなの」
「最近モコ近所の公園がお気に入りで」
それでというのだ。
「あそこに行って遊ぶのがね」
「好きなのね」
「だからね」
それでというのだ。
「お父さんも付き合って」
「一緒に公園にいるのね」
「そうなのよ」
「モコも元気ね」
咲は笑って言った。
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