まるめこむ姉
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「さて、ノエル君」
あたしはこほんと咳ばらいをした。
不思議そうにあたしの顔を見たノエルの顔を、焚火の炎が蠢くように照らす。
「ノエルがあんなところで倒れていた理由は大体想像がつくわ。村の目の前だったしね。帰ってきたところだったんでしょ」
ノエルがゆっくり頷いた。顔の動きに合わせて、その表情に影が差す。
「ねぇ、どうして家を出たか聞いてもいい?」
「…」
ノエルの視線が地面に落ちた。
言いづらそうに、柔らかい唇が引き結ばれる。
「ごめんねノエル…いいよ。話したくなったら話してね。姉さんは何があってもあなたの味方だから」
「…本当に?」
「もちろん」
あたしはノエルの横にずりずりっと寄ると、手をとって視線を合わせた。弟たちによくやってたように、笑う。
家族はいつだって、暖かいものなのだ。
悪いことはちゃんと怒る、良いことは沢山褒める、でも何があっても絶対に一人ぼっちにしたりしない。
うちの家訓だ。
ノエルは、ちょっと家を離れていたけれど、家族はどこにいても繋がっているから、いつだって温かいごはんと、ぽかぽかのお家と、みんなの笑顔は変わらずすぐ傍にある。
そう思えば、何だってできるんだからね。
「明日…村に帰るの?」
どきっ!
ノエルの何気ない言葉に、あたしは笑顔のまま固まった。
このままノエルだけ帰そうか…いやいやだめよそんなことしたら即座に過保護な兄弟の誰かが連れ戻しにすっとんでくるわ…。あたしもノエルと一緒に帰る…のは絶対になし!今帰って幸せそうなレアンオン兄さまにばったり会いでもしたらあたしの繊細な乙女心は木っ葉微塵に砕け散るわよ。目の前で未練たらしく泣いて、めんどくさい女だと思われるのだけは絶対にいやっ!
とりあえず今ノエルを村に向かわせるわけにはいかないわっ!
あたしは人差し指を頬に添えてかわいらしく小首を傾げて言った。
「けっ、結構流されたみたいだから、明日は、帰れないんじゃない、キョな」
まずい…挙動不審もいいところだ。しかもわけわかんないとこで噛んだ。穴掘って埋まりたい…。
「そっか…」
けれどノエルは何ら気にする様子もなく、考えるように黙り込んだ。
ふーひとまず助かった…のか、な?つっこまれなくてよかったような、でもつっこまれなかったら「さっきのは噛んだだけよ!」って弁解もできないから、よくなかったような…。
ノエルがこんなに早
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