第七百三十三話 フクロオオカミその八
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「見えないからな」
「わかりにくいですね」
「どうもな、しかしだ」
「このフクロオオカミもですね」
「有袋類だ」
紛れもなくそうだというのだ。
「これがな」
「左様ですね」
「そのことは忘れてはだ」
「駄目ですね」
「そうだ、あとだ」
大尉はさらに言った。
「実はカンガルーより遥かに人を襲った話が少ない、いやなかったか」
「ないのですか」
「そうだ、カンガルーはよく殴って蹴ってくるが」
人間をというのだ。
「フクロオオカミはだ」
「人を襲わないですか」
「そうなのだ」
「猛獣であっても」
「狼も人は襲わないな」
その実はというのだ。
「家畜は襲ってもな」
「そうでしたね」
「狼王ロボは家畜を襲った」
シートン動物記に出て来る誇り高き狼である、シートン本人と知恵比べをしてそして最後はシートンが勝っている。
「だが人はだ」
「襲っていないですね」
「そんなことはだ」
ロボはというのだ。
「全くだ」
「しなかったですね」
「そうだった」
まさにというのだ。
「そして他の狼もな」
「同じですね」
「童話ではよく人を襲うが」
狼はというのだ。
「しかしな」
「実は襲わないですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「そしてフクロオオカミもな」
「よく観ますと」
上等兵はフクロオオカミ達を観て言った。
「人を襲う様な大きさではないですね」
「そうだな」
「では猛獣でも」
「そこまでだ」
「警戒することはないですか」
「そうだ」
大尉もその通りと答えた。
「フクロオオカミはな、むしろだ」
「カンガルーの方がですね」
「危険でな」
それでというのだ。
「気を付けるべきだ」
「カンガルーは猛獣ではないですが」
「しかしだ」
それでもというのだ。
「攻撃性が高いからな」
「むしろカンガルーの方をですね」
「気を付けないとだ」
さもないと、というのだ。
「駄目だ」
「そうなのですね」
「あとだ」
大尉はこうも話した。
「有袋類の生息地域は蛇も多く棲息していることが多い」
「その方が問題ですね」
「フクロオオカミよりもな」
「蛇が多いとなると」
「蛇の十分の一に毒がある」
大尉は言った。
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