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八条学園騒動記
第七百三十三話 フクロオオカミその二

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「まして相手を侮る場合自分達より何かが劣るな」
「数なり技術なり」
「侮られる方はその劣勢を自覚していてだ」
 それでというのだ。
「油断していない、むしろだ」
「気を引き締めていますね」
「決死の場合もある」
 そちら側はというのだ。
「例え優勢でも油断している側とだ」
「決死の側ならですね」
「どちらが勝つかは明白だ」
「左様ですね」
「まして連合は巨大でだ」
 そうした国でというのだ。
「技術もだ」
「高いですね」
「我々よりも数百年はと言われている」
「そこまで違いますね」
「然程違わない様に見えてだ」
 連合とエウロパはというのだ、ここで大尉は小声でしかも早口になった。わかりにくい薩摩星系の方言をさらにそうさせて周りにわからない様にしたのだ。
「何かとだ」
「違いますね」
「それがわかるな」
「どうにも」
「連合にいるとな」
「数百年の違いがです」
 技術レベルのそれがとだ、上等兵も答えた。彼もそうした口調になっている。
「あるとです」
「そうだな、それがだ」
「連合ですね」
「侮ることはな」
「以ての外ですね」
「あらゆることについてな」
 まさにというのだ。
「衆愚と言うが」
「実はですね」
「大衆ではあるが」
 連合市民はというのだ。
「衆愚ではない」
「間違っても」
「衆愚でも数があるとだ」
 それならというのだ。
「それなりの強さだ、この場合の衆愚は政治的なものでなくな」
「人として愚か者ばかりというのですね」
「有権者が政治に興味をなくし適当に選挙でデマコーヴァ等に投票するのが衆愚政治だが」
「昔から言われていますね」
「古代ギリシアからあった」
 アテネ末期が有名である。
「市民が政治的に考えることを放棄してな」
「政治家のよし悪しを見極められなくなり」
「碌でもない政治家を当選させてだ」
 選挙の時にというのだ。
「彼等に好きな様にさせるのがだ」
「衆愚政治ですね」
「確かに連合でも観られてきたし今もだ」
「観られますね」
「これだけ大きな国だからな」
 四兆もの人口がいる、だ。
「国家や地域によってはだ」
「そうなっていますね」
「周りがどう見ても当選させてはいけない人物を当選させ」
 そうしてというのだ。
「その輩に好きな様にさせている」
「そうした状況もありますね」
「国家、星系、星、地域、市町村まで観るとな」
「地方政治全体もですね」
「連合は分権国家だ」
 このことは極めて徹底している。
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