第五十二話 名前その八
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「そういうことやね」
「そやろな、日本の鬼は」
「そう考えたら」
リーのその話を聞いて言った。
「今度の神霊さん達についても」
「何かと考えるな」
「その鬼やし」
「酒呑童子とかな」
「酒呑童子さんは元は人やけど」
お伽草紙ではそう書かれている、その人が紆余曲折があり鬼となったとされているのが酒呑童子なのだ。
「やっぱり山の民とか西の人とか」
「入ってたやろな」
「そうやねんね」
「その酒呑童子という名前もな」
リーはそのことについても指摘した。
「実は大陸のな」
「そうした人達の名前が日本風になった」
「シュテンドルフとかな」
「ドイツ系の名前やね」
「赤い肌は」
鬼のそれはというのだ。
「まさに白人やな」
「白いお肌が赤くなるし」
「それで毛深いな」
鬼も白人もというのだ。
「髪の毛も縮れてて」
「しかも大柄で」
「そうした諸要素がな」
まさにというのだ。
「鬼にも見られるとなると」
「酒呑童子さんもやね」
「その実はな」
お伽草紙では人が鬼になったとされているがというのだ。
「西の人やったかも知れん」
「日本に流れ着いて山賊でもやってた」
「それでお肉を食べて」
「人肉やなくて」
「それで血でなくな」
「赤ワインを飲んでたんやね」
「そうやったかもな」
その実はというのだ。
「例え山賊やったにしても」
「そうした人等やったかも知れんね」
「人として考えるとな」
鬼でなくというのだ。
「そうなるかもな」
「成程、色々考えられるんやね」
綾乃は日本人の名前から山の民のことになりこの度戦う神霊達の話に至りそこから考えられることについて重要なものを見出した、そのうえでだった。
神霊達がいる階に至るとだ、他ならぬ酒呑童子まさに大柄な鬼の姿をした彼から言われた。
「そこはそうだな」
「西の人っていう説もですか」
「鬼がな、山の民というのもな」
「ありますか」
「わし等本物の鬼もいるが」
それでもというのだ。
「大抵はな」
「そうした人等が入ってますか」
「そうであろうな」
こう綾乃に言うのだった。
「起きた世界ではな」
「そうですか」
「あちらの世界はこちらの世界程神霊がはっきりとは出ぬ」
そうした世界だというのだ。
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