第百十二話 二つの祭りその四
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「もうな」
「何があってもおかしくないわね」
「そうだろ」
こう言うのだった。
「だからな」
「成海っちブルマはアウトね」
「反対だよ、かな恵が人前でそんな恰好になったら」
それこそというのだった。
「俺絶対に嫌だからな」
「何があっても」
「そうだよ」
まさにというのだった。
「本当にな」
「それでそう言ってくれるのね」
「そうだよ、ブルマはな」
絶対にとだ、成海はさらに言った。
「俺達が高校卒業してな」
「それからなのね」
「俺の目の前だけでな」
「着るものね」
「それならいいよ」
「高校卒業までっていうのがね」
かな恵は思わず笑って応えた。
「成海っちね」
「真面目だっていうのかよ」
「そうしたことに関してね」
「いや、本当にな」
「真面目でないと」
「駄目だろ、皆やってるとか言う奴いるけどな」
それでもというのだ。
「どうもな」
「成海っちはなのね」
「就職してからとも考えてるけれどな」
「それじゃあね」
「せめて高校卒業までな」
それまではというのだ、成海はかな恵に対して自分でもわかる位に必死になってそれで語っていた。
「我慢しないとな」
「そうしたことは」
「だからな」
「高校卒業してからなのね」
「ブルマはな」
「着ないで」
「着るとしたらな」
そうしてもというのだ。
「俺の前だけにしてくれよ」
「そうするわね、しかしね」
「しかし?何だよ」
「いや、成海っち兎に角卒業までって言うけれど」
お互いが言うに真面目にというのだ。
「それまでどうしてるのよ」
「どうしてるって何がよ」
「わかるでしょ、そうしたことを」
表現をかなりぼかして言った。
「どうしてるのよ」
「いや、そっちこそわかるだろ」
成海も成海でこう返した。
「もうな」
「そういうことね」
「もう誰だってな」
それこそというのだ。
「俺達の年頃はな」
「自分で、なのね」
「察してくれよ」
「明男にしても」
「あいつだってな、中学生だってな」
高校生と同じくというのだ。
「そうだよ、何でもな」
「何でも?」
「世界史に西夏って国出て来るよな」
中国の北西部にあった国である、遊牧民の国であり強力な騎兵隊を擁していたことで知られている。
「あそこの皇帝さんで十三歳で子供いた人いたそうだぞ」
「嘘っ、十三歳って」
これにはかな恵も驚いて応えた。
「私達より年下じゃない」
「中一だよな」
「それでなのね」
「武田信玄さんだってな」
甲斐の戦国大名である彼もというのだ。
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