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第五十一話 決着その十

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「この様なことになるとは」
「運命が、ですか」
「貴方が人の心を失い妹さんを手にかけ」
 丁はこの運命を話した。
「天の龍の多くを殺め天の龍の神威さえ」
「それが貴女が見た運命でしたが」
「その運命ばかり見ていましたが」
 それでもというのだ。
「それがです」
「変わりましたね」
「はい」
 まさにというのだ。
「まず貴方達のお父上が死なず」
「父さんが」
「貴方が人の心を失わず妹さんを手にかけず」
 運命と違ってというのだ。
「それで、です」
「そのうえで、ですね」
「天の龍も地の龍もです」
 戦う彼等もというのだ。
「殆どが生き残り」
「星史郎さん以外は」
「そして天の龍の神威が勝った」
「大きく変わっていますね」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「わらわも驚いています、では」
「今から行きます」
「そうしてですね」
「封じます、必ず」
「では希望を持ってお任せします」
 これが丁の今の返答だった。
「これから」
「それでは」
「運命は。貴方達が切り開いて下さい」
 こう言って意識を戻した、そして。
 残った二人はだ、もう一人の丁を見た。彼女は底まで燃える様な低くそれでいて広く燃える炎の様な心を見せて見せた。
「わらわの邪魔はさせぬ。この身体で生まれさせ夢見の仕事を押し付けた人間も世界も」
「だから滅ぼすか」
「そうする。邪魔をするのならお主達から滅ぼす」
「そうさせるつもりはないと言っておく」
 神威はその丁に毅然として答えた。
「俺達はな」
「だからわらわを封じるか」
「そうする、行くぞ」
「やってみせよ。幾ら龍とはいえわらわを止められると思っているのか」
「一人なら無理だ」
 神威は毅然として答えた。
「間違いなくな」
「わかっておるではないか」
「だが今は二人だ」
 こう言うのだった。
「しかもだ」
「剣があるというのか」
「だからだ」 
 それ故にというのだ。
「封じる、行くぞ」
「神威、一瞬だ」
 封真も言ってきた。
「勝負はな」
「そうだな、その一瞬でだ」
「決まる、だからだ」
 だからだというのだ。
「全てを集中させてだ」
「戦うか」
「さもないと敗れるな」
「ああ、姫様と同じだ」
 神威はもう一人の丁を見据えつつ封真に答えた。
「その力はな」
「言うなら鏡だな」
「実体のあるな」
「それならだ、ここはだ」
「一瞬でだな」
「終わらせる、二人でな」
「よし、ではな」
「行くぞ」
 二人で話した、そしてだった。
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