暁 〜小説投稿サイト〜
X ーthe another storyー
第五十一話 決着その六

[8]前話 [2]次話
「前を向いて進んでいくよ」
「そうしてくれますか」
「貴方のこと、そしてお姉さんのことをね」
「記憶に留めてくれてですね」
「そのうえでね」
「そうしてくれますか」
「もう心の檻から出て」
 そうしてというのだ。
「仲間のところに戻ったからね」
「だからですね」
「もうね」
 これからはというのだ。
「そうしてくれるよ」
「それならいいです、僕もこれで」
「行けるね」
「あちらの世界に。ただ地獄に行くと思ったのが」
 それがというのだ。
「煉獄にです」
「行くことになったんだ」
「多くの命を手にかけてきましたが」
 そうであるがというのだ。
「そうなりました」
「そうなんだ」
「不思議ですね、僕は悪いことを沢山してきたのに」
「あんたは楽しんで命を奪うことはしなかった」 
 草薙がこう言った。
「仕事だったからだ、弔いもしてきたな」
「それが桜塚護のしきたりなので」
「そして俺達もあんたを弔ったからか」
 自分達がそうしたことも話した。
「冥福を祈ってな」
「それで、ですか」
「そうかもな、けれどそれであんたが煉獄に行ってな」
 そうしてというのだ。
「罪を清めてまたな」
「生まれ変われるならですね」
「また会おうな」
 優しい笑顔での言葉だった、ここでも。
「そうしような」
「次の人生でもですね」
「俺も生まれ変わるからな」
「いいわね、この顔触れでね」
 庚も話に乗って言う。
「またね」
「次の生でもな」
「一緒になりましょう」
「今度は死なない様にします」
 星史郎は庚の言葉を受けて述べた。
「そうした人生を歩みます」
「そうしてね。それで戦いが終わるまでは」
「一緒にいていいですね」
「お願いするわ」
「それでは。封真君ならです」
 星史郎は庚の返答を受けたうえで微笑んで述べた。
「きっとです」
「大丈夫ね」
「僕の様にはなりませんよ」 
 こう言って戦いを見守るのだった、地の龍達は夢の中でそうすることにした。彼等もまた最後の戦いを見ていた。
 東京タワーの赤い鉄筋が交差する展望台の上でだった、神威と封真は対峙していた。それぞれの手には剣がある。
 小鳥は二人の真ん中にいる、そこで毅然とした顔で見ていた。
「それじゃあね」
「ああ、はじめる」
「今からな」
 神威も封真も答えた。
「そうする」
「小鳥はそこで見ていてくれ」
「神威、いいな」 
 封真は今度は神威に言った、視線は最初からお互いだけに向いている。
「今からはじめる」
「受ける」
 これが神威の返事だった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ