第五十一話 決着その六
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「前を向いて進んでいくよ」
「そうしてくれますか」
「貴方のこと、そしてお姉さんのことをね」
「記憶に留めてくれてですね」
「そのうえでね」
「そうしてくれますか」
「もう心の檻から出て」
そうしてというのだ。
「仲間のところに戻ったからね」
「だからですね」
「もうね」
これからはというのだ。
「そうしてくれるよ」
「それならいいです、僕もこれで」
「行けるね」
「あちらの世界に。ただ地獄に行くと思ったのが」
それがというのだ。
「煉獄にです」
「行くことになったんだ」
「多くの命を手にかけてきましたが」
そうであるがというのだ。
「そうなりました」
「そうなんだ」
「不思議ですね、僕は悪いことを沢山してきたのに」
「あんたは楽しんで命を奪うことはしなかった」
草薙がこう言った。
「仕事だったからだ、弔いもしてきたな」
「それが桜塚護のしきたりなので」
「そして俺達もあんたを弔ったからか」
自分達がそうしたことも話した。
「冥福を祈ってな」
「それで、ですか」
「そうかもな、けれどそれであんたが煉獄に行ってな」
そうしてというのだ。
「罪を清めてまたな」
「生まれ変われるならですね」
「また会おうな」
優しい笑顔での言葉だった、ここでも。
「そうしような」
「次の人生でもですね」
「俺も生まれ変わるからな」
「いいわね、この顔触れでね」
庚も話に乗って言う。
「またね」
「次の生でもな」
「一緒になりましょう」
「今度は死なない様にします」
星史郎は庚の言葉を受けて述べた。
「そうした人生を歩みます」
「そうしてね。それで戦いが終わるまでは」
「一緒にいていいですね」
「お願いするわ」
「それでは。封真君ならです」
星史郎は庚の返答を受けたうえで微笑んで述べた。
「きっとです」
「大丈夫ね」
「僕の様にはなりませんよ」
こう言って戦いを見守るのだった、地の龍達は夢の中でそうすることにした。彼等もまた最後の戦いを見ていた。
東京タワーの赤い鉄筋が交差する展望台の上でだった、神威と封真は対峙していた。それぞれの手には剣がある。
小鳥は二人の真ん中にいる、そこで毅然とした顔で見ていた。
「それじゃあね」
「ああ、はじめる」
「今からな」
神威も封真も答えた。
「そうする」
「小鳥はそこで見ていてくれ」
「神威、いいな」
封真は今度は神威に言った、視線は最初からお互いだけに向いている。
「今からはじめる」
「受ける」
これが神威の返事だった。
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