序章〜旧市街の裏解決屋(スプリガン)〜 第1話
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ていたヴァンはアニエスに新たな質問をした。
「その……ちょっと大きな声では言えない導力ネットの検索方法で……一週間前に、旧首都のとある古物商から盗難されたばかりだそうです。」
「P4プロトコルの穴を利用した特殊な検索アプリを使ったわけか。だが、コイツは……………………………」
ザイファの画像を真剣な表情で黙って見つめたヴァンはアニエスの前にザイファを置いた。
「え、えっと………」
「――――――悪いことは言わねえ。ギルドか警察にでも相談するんだな。なんの導力器かは知らんがアンティーク価値も結構ありそうだ。盗まれた事も含めて厄介な連中が絡んでいる可能性もある。むしろ故人の遺品ってことなら尚更、甘っちょろいギルド向きなんじゃねえか?」
「そ、それは……駄目、なんです。警察には、まして遊撃士協会にも相談するわけにはいかなくて。……………………」
ヴァンの忠告と指摘に一瞬言いよどんだアニエスは顔を俯かせて複雑そうな表情で答えた後黙り込んだ。
「ふう、何だか知らんが………――――――っと、茶請けを出し忘れたか。」
アニエスの様子を見て溜息を吐いたヴァンは茶請けが無い事に気づいた。
「あ……わ、私も忘れていました。」
ヴァンの言葉を聞いてある事を思い出したアニエスはヴァンの前にあるケーキ店の紙袋を置いた。
「その、学生寮近くの人気のお店のケーキでして。1日20個限定みたいですから、結構美味しいんじゃないかと――――――」
「”アンダルシア”の晩夏限定ケーキ!オレド産黒イチジクを隙間なく敷き詰めてアルモニカ産糖蜜でコーティングした特製タルトかよ!」
そしてアニエスが自分が購入したケーキについての説明をしようとしたその時、ヴァンが目の色を変えてより詳細な説明を口にした。
「えっと……お詳しいんですね?」
(あの様子だと、あの男は甘味に目がないようですね。)
ヴァンの様子にアニエスは冷や汗をかいた後戸惑いの表情でヴァンに訊ね、二人の様子を見守っていたメイヴィスレインはヴァンを分析していた。
その後二人は事務所を出た。
〜旧市街〜
「……………………………」
「……えっと………」
黙り込んでいるヴァンに対してアニエスはどう声をかければいいかわからなかったが、ヴァンが振り向いてアニエスに答えた。
「―――いいか、一言言っておく。限定ケーキに釣られたわけじゃない。いいね?」
(フン、少なくてもアニエスが用意した珍しい甘味も依頼を請けた理由の何割かがあるのは明白でしょうが。)
「は、はあ……――――ふふっ、甘い物、お好きなんですね?すぐに食べるかと思ったら大切そうに冷蔵庫に仕舞って………
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