第五十一話 織田家の者達その九
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「信長さん糖尿病説あるわ」
「そうなん?」
「晩年そやったってな」
「噂があるん」
「そうみたいやな」
「そういえばあの人甘いもん好きやったし」
酒はほぼ飲めずそちらだったという。
「それで茶道やってっていうし」
「お茶いうたらお菓子やしな」
「ほな糖尿病やったっていうのも」
「あったかもな」
「そやねんね」
「それで龍馬さんにしても」
今度は彼のことを話した。
「梅毒やったって説あるし」
「その人はそっちなん」
「あくまで二人共一説で」
それに過ぎずというのだ。
「実際はどやったかわからんけど」
「そうしたお話があるんやね」
「ちなみに芥川さんの結核はほんまらしいわ」
こちらはというのだ。
「どうもな」
「当時結核は不治の病やったし」
「いや、治せることは治せてん」
芥川が言ってきた。
「結核も」
「そうなん」
「結核の感染した部分を取り除いたら」
手術によってというのだ。
「治せてん」
「そやったんやね」
「肺やったらな」
結核で最も感染することが多い部分であろうか。
「肺の感染した部分をな」
「除去するんやね」
「そうしてな」
「助かったんやね」
「梅毒もあったし」
治療法がというのだ。
「熱病になって菌を殺すか」
「わざとなるんやね」
「それか水銀使って」
そうしてというのだ。
「治すねん」
「どっちもかなりやばいね」
「そうでもせんと」
まさに命を賭けないと、というのだ。
「治せんかったんや」
「結核はそやってんね」
「ずっとそやったんや」
「ペニシリン出るまでは」
「この世界では既にあるけど」
「起きた世界やと二次大戦直後位に出て」
日本でも徐々に普及していった。
「ようやくな」
「結核や梅毒が普通に助かる様になったんやね」
「あれがあったら」
「芥川さんも助かったんやね」
「自殺せんかったらな」
この前提が必要だった、芥川については。
「太宰さんもやけどな」
「あの人も自殺してるし」
「それで結核やったし」
太宰もそうであったのだ。
「その辺り似てるな」
「あの人等どっか似てるね」
「そやな、不思議とな」
「太宰さん芥川さん尊敬してたけど」
このことは終生変わらなかった、だからこそ芥川賞を必死に取ろうとしたのだ。
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