暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第10章】カナタとツバサ、帰郷後の一連の流れ。
 【第8節】背景設定10: 古代ベルカの霊魂観と聖王教会の教義について。
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こからの救済」を説く宗教が伝わって来た時にも、(それを伝えたのが、号天の宗教家ではなく、ルーフェンから来た交易商人だったこともあって)ミッドチルダの人々はそうした「東方の宗教」に対して、あまり強い関心は(いだ)きませんでした。
 ただ、その宗教の「ありがたい教典」が「高額の商品」として大量に持ち込まれたため、ミッドの知識階級はその宗教を「学問の一種」として受け止め、あたかも『元を取ろう』とするかのように、教典の翻訳やその内容に関する研究を進めました。
 そのため、ミッドでは今も、「東方の宗教」はあくまでも「古典教養の一種」として世に知られているのです。
 ミッドチルダは古来、基本的には平和な世界であり、ミッドの人々も「この世」のことをさほど「悪い場所」だとは思っていなかったので、「輪廻」という新しい考え方そのものには強い興味を示しましたが、『解脱(げだつ)こそが、輪廻からの救済である』という発想にはあまり共感を(おぼ)えなかったのでしょう。

 それに対して、ミッドチルダが「聖王家直轄領」となった後、古代ベルカの宗教は速やかに受け()れられました。
 理由は幾つもありますが、おおむね以下の五点にまとめられます。

 1.すでに「輪廻転生」という考え方がミッド人の意識に(ひろ)く根付いていた。
 2.総督家を始めとするベルカ貴族たちが現実にミッドに移り住み、そのまま土着したために、(書物だけが入って来た「東方の宗教」とは違って)その信仰の実践を、ミッド人が()の当たりにすることができた。
 3.表音文字で表記された古代ベルカ語は、表語文字で表記された号天語に比べれば、相対的に(あくまでも「相対的に」だが)「正確な翻訳」の容易な言語だった。
 4.表語文字で『色即是空』などと抽象的な事を言われても訳が解らないが、「天動説的な世界観」という具体的な比喩(たとえ)を使って、明瞭な「三元論」を()かれれば、当時のミッド人にも容易(たやす)く理解することができた。
 5.基本的には「戒律のユルい多神教」同士なので、先祖伝来の宗教を肯定したままで受容することができ、また、両者の「習合」も容易だった。
(例えば、ミッドの(ふる)き「嵐の神ヴェゴズローム」は、古代ベルカの「槍の神」の「小さな分身」であるものと想定された。)

 このように両者が「習合」した宗教は、ミッドでは古来、ただ単に「古典宗教」と呼ばれています。
 また、近年の統計によれば、ミッドでは(どれぐらい熱心であるかは別にして、少なくとも形式的には)全人口の7〜8割が「聖王教」の信者となっています。
 そして、残る2〜3割は、大半が「古典宗教」の信者であり、「東方の宗教」や「その他の宗教」や「無宗教」は、ごくごく例外的な存在となっています。
(もちろん、「狂
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