【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第10章】カナタとツバサ、帰郷後の一連の流れ。
【第7節】キャラ設定10: エリオとキャロ。(後編)
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か)で、ようやく「ジョスカーラ姉弟の潜伏地点」を確認しました。
しかし、いきなり飛竜の姿を見せても警戒されるだけなので、まずはその潜伏地点の「風上」に二人だけの小さなキャンプ地を築き、フリードを小さな姿に戻してから、必要以上に豪勢な夕食を作ります。その匂いに誘われて、腹を減らした姉弟が足音も無く近づいてくるまで、さほどの時間はかかりませんでした。
二人は「姉弟の正体」に関しては何も知らない素振りをしながら、珍客を夕食の席へと誘いました。幸い、翻訳機なしでも言葉は充分に通じるようです。
ほとんど「餌付け」のような形になってしまいましたが、二人はこうして、この姉弟と平和的に接触を果たしたのでした。
その後も、エリオとキャロは慌てずゆっくりと時間をかけて、この姉弟との間にまず「人間的な信頼関係」を築いていきました。
何日も経ってから、ヴァラムディはようやく「身の上話」を切り出します。
そして、エリオとキャロは、ドン・ヴァドラムザとの確執など、一連の情報を「確認」すると、辛抱強く「彼等の側の言い分」をも聴いた上で、ヴァラムディとフェルガンにこのまま「スプールスへの移民」を申請するように勧めました。
『怨みに思う気持ちも解らなくはないが、この上さらに復讐を重ねて、それで君たちの将来が一体どうなると言うのか?』
あくまでも穏やかな口調で、そう問いただしたのです。
それでも、ジョスカーラ姉弟の態度は、頑ななものでした。
『ドン・ヴァドラムザに報復したい。どうにかして、あのメイドたちの仇を討ってあげたい』という気持ちが、どうしても抑え切れなかったからです。
さらには、(エリオとキャロには、まだ秘密にしていましたが)ヴァラムディとフェルガンには『南方州への進攻作戦の際には、必ずや馳せ参じる』という、あの老当主との「個人的な」約束があったからです。
エリオとキャロも小さい頃には随分と荒れていた時期があるので、この姉弟の気持ちも解らなくはありませんでした。
『人間は所詮、環境と教育の産物だ。報復を当然のことだと考える文化の中で育てば、誰でも当然に、この姉弟のようになるだろう』
そう思うと、二人には、なかなか「上手な説得の言葉」が見つかりませんでした。
しかし、翌6月には、彼等の許に「良い知らせ」と「悪い知らせ」が同時にもたらされました。
まず、吉報は『ダムグリースの南方州で政変があり、そこで、ドン・ヴァドラムザとその一族は「かつての〈南の王〉の一族」に仕えていた家臣たちの反乱によって皆殺しにされた。また、それを受けて、〈中央政府〉も当面は「力ずくでの統合」を手控えることにした』という情報です。
一方、凶報は『東方州では
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