【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第10章】カナタとツバサ、帰郷後の一連の流れ。
【第5節】新暦93年と94年の出来事。
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ルーテシアが『この島の南部には人間たちが住んでいるから、彼等に見つからないようにしてほしい』と答えると、白天王は大きくうなずいて、静かに飛び立ちます。
そして、白天王はほんの1刻ほどでその場に戻ってくると、やや興奮気味に早口で何かをまくし立ててから、勝手に〈号天〉へと還ってしまいました。
キャロ「ルーちゃん。白天王は最後に、なんて言ってたの? なんだか、早口すぎて聞き取れなかったんだけど」
ルーテシア「う〜ん。私も全部は解らなかったけど……多分、『最終脱皮が終わったら、この島に引っ越して来たい』とか、『早くあの方と交配して、この島で子供を産み育てたい』とか、言ってたんだと思うわ」
ファビア「あの方というのは……ヴォルテールさんのことですよね?」
ルーテシア「うん。人間で言ったら、『憧れのセンパイ』みたいなイメージだったわよ。何て言うか……彼女? 思いのほか、『オトメな性格』だったみたいね」
エリオ(ええ……。)
ジークリンデ(なんやて?!)
その用語は、あの「白天王の外見」とはなかなか結び付きそうに無い用語でしたが、フリードだけは頻りにウンウンとうなずいています。
飛竜は決して真竜のような両性具有体ではありませんが、それでも、同じ大型竜族として何かしら理解できるところがあるのかも知れません。
(もしかして……フリードにも、そろそろ「お嫁さん」とか探してあげないといけないのかなあ?)
キャロはふとそんなことを考えたりもしましたが、実際には、それは白天王の最終脱皮と同様、まだ十年ちかくも先の話になります。
一行はまた、フリードに乗ってメガーヌ街へ戻りました。
そして、同93年の夏には(Vividの時点から、実に14年もの歳月を経て!)ミッドチルダ全土で、映画「クラウスとオリヴィエの物語」がついに公開されました。
アインハルトとヴィヴィオが(結婚の直後に)脚本の第一稿をチェックしてから、丸5年あまり。管理局が監修し、聖王教会も全面協力し、サラサール家も正式にスポンサーとしてその名を連ねたという、前後編の超大作です。
もちろん、アインハルトとヴィヴィオも「自分たちの名前が決して表には出ないこと」を条件に全面協力しており、内緒の話ですが、そこでも「クラウスの記憶」は細々としたところで大変に役に立ちました。
その結果、この大作映画は単に「悲恋もの」として大ヒットしただけではなく、『当時の社会情勢から日常生活に至るまで、驚くほど史実に忠実に再現されている』と、歴史学者たちも大絶賛するほどの出来栄えとなり、ミッドではいわゆる「社会現象」となりました。
しかも、その年は、決して『映画製作の
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