暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第10章】カナタとツバサ、帰郷後の一連の流れ。
 【第3節】ユーノの両親についての中間報告。
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「人工皮膚」が使われることは滅多に無い』というほどの状況で、両目の角膜も熱で少しばかり白濁してしまっていたので人工の角膜に取り替えられたのだそうです。
 また、ジィドの顔面はさらにヒドい状態で、ほとんど炭化していたので、もし防護服に名札(なふだ)がついていなければ、どちらがジィドで、どちらがデグナンなのか。それすら、誰にも解らないほどだったと言います」

「念のために()くが……名札(なふだ)以外では、本人確認をしていないのか?」
「いえ。デグナンは適切な治療を受けた結果、翌日にはもう目を覚ましたので、彼をジィドの遺体のところに連れて行き、『こちらが、ジィド・クラーレで間違い無いか?』と確認させたところ、彼はその遺体の口をこじ()け、上の犬歯の辺りを指で軽くなぞってから、『間違い無い。彼は昔から、この(あた)りの歯並びの悪さを少し気にしていた』と答えたそうです」
「歯並び?」
「ええ。今では、滅多に聞かない話ですけどね。新暦40年代の頃までは、どの世界でも歯列矯正はおおむね保険の適用外でしたから、当時はそれほど珍しい話でも無かったんですよ。……それで、デグナンはその場にがっくりと膝をつき、『どうして、お前が俺より先に死ぬんだよ』と泣き崩れたのだそうです」

 ユーノは今の話に何かしら「不自然なもの」を感じ取っていたのですが……ダールヴはお構いなしに話を先に進めました。
「ジィドの『その後』については、以上です。あとは、ルミエとジィドの『そもそもの素性』について調べれば良い、ということでしたか?」
 疑問と言うよりは、単なる確認の口調です。
「そうだね。当初の予定どおり、その二人の素性について調べてもらうのは当然のこととして……その、デグナンという人物の『その後』についても、ひととおり調べてみてくれないか?」
「解りました。確か……『貨物船の側にも法律上の不備はあったが、次元港の側が訴訟を恐れて「結構な額」を提示して来たので、デグナンも示談に応じた。と言っても、貨物船の消火活動および残骸撤去の費用、乗員救助の費用、デグナンの治療とジィドの遺体保存の費用、さらには帰りの船の代金まで、一旦は次元港の側がすべて肩代わりをしていたので、デグナンが実際に受け取ったのは両者の差額だけで、それは大した額ではなかった。そして、デグナンは、ジィドの遺体を収めた(ひつぎ)とともに、次元港の側が手配した貨客船に乗ってヴァイゼンに帰った』とかいう話でしたが……その辺りから、もう一度、調べ直してみます」

「ああ。それから、今ふと思ったんだが……ジィドがクレモナで何かしら『心の折れるような状況』に遭遇した、という話だったが、具体的には何があったんだ? できれば、それについても一度、調べてみてほしい」
 これには、さしものダールヴもちょっと難しそ
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