暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第10章】カナタとツバサ、帰郷後の一連の流れ。
 【第3節】ユーノの両親についての中間報告。
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、〈星の(ささや)き号〉は着陸寸前に横からの突風に(あお)られて船体が丸ごと傾き、わずかな高度からですが、そのまま右舷を下にして墜落しました。もう少し重量があれば、そこまで大きく煽られることも無かったのかも知れませんが、空荷(からに)の上に物理燃料もほぼ底をついていたことが、(わざわ)いしたのでしょう。なお、その船内には、法的に搭載が義務化されている『脱出艇や小型艇』の(たぐい)も、全く搭載されていなかったそうです。
 墜落の衝撃で、老朽化していた核融合炉も(つぶ)れ、船内に(あふ)れ出したプラズマとそれによる水素爆発で〈星の(ささや)き号〉の船体は内側から丸ごと焼かれて、全体が炎上し、崩壊しました。そして、その事故で、デグナン・ガバロスも重傷を負い、ジィド・クラーレも焼死したのだそうです」

 ダールヴは実に淡々とした口調でそう語りましたが、それは、ユーノにとっては全く想定外の情報でした。
「デヴォルザムで、いきなり死んでいたのか? ジィド・クラーレは」
 思わず、述語の方が先に来てしまいます。それでも、ダールヴは、ユーノのそんな(あわ)てぶりを(いぶか)る様子も無く、また淡々と報告を続けました。
「はい。船全体が横倒しになったのですから、二人も当然に座席から(ころ)げ落ち、船橋(ブリッジ)の右側の壁を床にした状態で倒れていました。また、偶然にそうなったのか、意図的にそうしたのかは解りませんが、救助隊が突入した時には、ジィドがデグナンの体の上に(おお)いかぶさっている状態で発見されたのだそうです。
 二人とも、一応は防護服を着ていましたが、古すぎて今ひとつ役に立ってはいませんでした。また、ヘルメットも(かぶ)っていなかったので、二人とも首から上は本当にヒドい状態になっており、ジィドはその時点ですでに絶命していたそうです」

(別に、今さら会いたかった訳では無いんだが……。そうか。本当に、僕が生まれる前に死んでいたのか……。)
 特に「根拠」はありませんでしたが、ユーノにとって、それは「今までの話の流れから考えると」何となく意外に思える事実でした。

「なお、ガラルオン次元港に付属した医療施設では、当時の医療担当者が今も現役で働いていたので、私はその人物に会って、直接に以下の話を聞くことができたのですが……。
 デグナンの方は、ジィドの体が盾になってくれたおかげで、一命を取りとめましたが、それでも、顔面はひどい大火傷(おおやけど)で……咄嗟(とっさ)に左手で(かば)ったのか、両目の部分だけは軽傷で済んでいましたが、額から上と鼻から下は完全に焼け(ただ)れていました。
 もちろん、デグナンの生存が確認されると、(ただ)ちに緊急手術が(おこ)なわれたのですが……『一人の人間に一回の手術で、あれほど大量の
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