【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第10章】カナタとツバサ、帰郷後の一連の流れ。
【第3節】ユーノの両親についての中間報告。
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実のところ、ダールヴには、そうしたジィドやルミエたちの「内面の問題」までは解っていませんでした。当然ながら、こうした調査で解るのは外面的な事実関係だけです。
それはそれとして、ダールヴは続けて、ユーノにこう語りました。
「新暦55年当時、ジィド・クラーレという人物は、おおよそのところ、そういった状況に置かれていました。それで、ここからが本題なんですが……。まず、幸いにも、旧東部次元港の出入港記録が『記念館』の地下資料室に丸ごと保存されていたので、現地での〈星の囁き号〉の足取りは、かなり正確に追うことができました。
その貨物船は、新暦55年の5月上旬に、当時の「東部次元港」に入港した後、『近場の世界へ出かけては、また何日かでそこへ戻って来る』といったことを何度も繰り返してから、最終的には12月になってクレモナを離れています」
それを聞いて、ユーノはふと考えました。
(中型以上の次元航行船に普段から脱出艇や小型艇を搭載しておくことは、法律上も必要な行為だ。つまり……時期的に考えて、ジィドはルミエを自分の船に乗せてクレモナを離れてから、すぐに彼女を薬で眠らせ、あらかじめ用意しておいた小型艇に乗せて、次元航路の中でナバルジェスへ向けて放り出した……ということか。
だが、何故だ? 単に『カネが手に入ったから、もう女は要らない』というだけなら、わざわざそんな面倒な捨て方など、する必要は無かったはずだ。……別れたかったけれど、死なせたくはなかった……ということなのか?)
「それと、今回は『その当時、実際に運び屋をやっていた』という老人からも話を聞くことができたのですが……クレモナを離れる直前に、ジィドは同業者らに『自分はもう廃業するので、これからデグナンと一緒に故郷のヴァイゼンに戻り、この船もそこで廃棄処分にするつもりだ』と語っていたそうです。
そして、〈星の囁き号〉は、実際に『デヴォルザムとミッドチルダを経由してヴァイゼンに行く』という予定でクレモナを離れたのですが……最初の寄港地であるデヴォルザムの、第三大陸カロエスマールの第一州都ネイザルの北方にある〈ガラルオン次元港〉で、その貨物船はいきなり着陸事故を起こしました。
なお、クレモナからデヴォルザムは低速船で1日と15時間の距離ですが、両方の世界の記録を照合してみると、〈星の囁き号〉はクレモナを発ってから2日と15時間後になってようやくデヴォルザムに到着しています。
この点から考えても、当時、その船の機関部の調子は相当に悪かったのでしょう。……しかし、実のところ、この着陸事故に関しては、それ以上に次元港の管制指示の側に問題がありました」
「それは、結構、大問題なんじゃないのか?」
ユーノにそう指摘されると、ダ
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