【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第10章】カナタとツバサ、帰郷後の一連の流れ。
【第2節】新暦90年の出来事。(後編)
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って、必要以上に広い「官舎」で二人きりの夕食の際、母親がおずおずと話を切り出した時にも、ロデリアはいささかも狼狽えませんでした。
「要するに、ママは、パパと離婚するのね?」
疑問と言うよりも、ただ単に確認を取っているだけ、という感じの冷静な口調です。
一人娘の、あまりの「物わかりの良さ」に、マギエスラ提督(30歳)は一瞬、愕然とした表情を浮かべました。
(私の態度って、そんなにもバレバレなモノだったのかしら?)
マギエスラはそんな一抹の恥ずかしさを覚えながらも、またおずおずとした口調で一人娘に問いかけます。
「うん。そうなんだけど……私たちが離婚したら、あなたは……」
「もちろん、ママの側につくよ!」
7歳児は母親にみなまで言わせず、そう即答しました。母親が当惑した表情を浮かべると、声には怒りすら込めて、さらにこう言葉を続けます。
「だって、悪いのは、パパの方なんでしょ? 結婚式では『死が二人を別つまで』と誓って婿入りしたのに、その約束を一方的に破って、他の女に走ったんでしょ? 悪いことをした人がその罪に相応の罰を受けるのは、当たり前のことだよ!」
主張そのものは、決して間違ってはいません。
しかし、「決して自分と仲が悪い訳ではない実の父親を『悪い人』と言い切ってしまう7歳児」というのも、マギエスラには何やら末恐ろしい気がしました。
「大丈夫だよ、ママ。私は何があっても、ママの味方だから! 必要なら、私、法廷で証言だってしちゃうよ!」
(ええ……。この子は、人前で一体何を言うつもりなの……。)
マギエスラは内心でおののきながらも、一人娘には素直に感謝の言葉を伝えます。
「ありがとう、ロデリア。……でもね。多分、この話は裁判にするまでも無く、示談で片が付くと思うの。実は、個人的に探偵を雇って、もう証拠は押さえてあるのよ」
「だったら、もう浮気男なんかのために、ママがわざわざ悩んであげる必要なんて、ゼンゼン無いんじゃない?」
ロデリアは、自分の実の父親に関して、冷たくそう言い放ちました。
【これは、確かに「末恐ろしい7歳児」です。(笑)】
そんな会話の後、翌7月には、無事に離婚が成立しました。
そして、マギエスラは、もう「嫌な思い出」しかない官舎を引き払い、娘ロデリアを父ザドヴァン(55歳)の家に預けて仕事に戻りました。
ロデリアは、就学早々に転校を余儀なくされてしまう形となりましたが、幸いにも、ザドヴァンやその家族との人間関係はなかなか良好なようです。
そのおかげで、マギエスラ提督は安心して職務に励むことができました。
【ただし、ロデリアは同年の末には学校を辞めてしまい、通信教育に切り替えて残り5年あまりで義務教育課程をすべて
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