【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第10章】カナタとツバサ、帰郷後の一連の流れ。
【第2節】新暦90年の出来事。(後編)
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ムとヴィータも、土曜日の晩のうちにハラオウン家の「駐在員詰所」から即時移動でミッドに帰りました。
そして、日曜日は、残る11人でまたゆっくりと街中をブラついたりもしました。
はやてとアリサとすずかが先に立ち、『この辺りは、当時とそれほど変わってないよね』などと昔話に花を咲かせる一方、シャマルとザフィーラとブラウロニアは後方で「それとなく」周囲に目を光らせます。
また、そんな両者の間では「外見は8歳前後」のリインとアギトとミカゲが、交代で「外見は6歳前後」のフユカやハルナとしっかり手をつないでいました。
傍目には、『年長の少女たちが、年少の幼女らの手を引いてあげている』みたいな微笑ましい状況にも見えるのでしょうが……実際には、この幼女らが何かをやらかさないように、三人がかりで『ゆるく拘束している』にも等しい状況です。
はやては木曜日にも来たばかりでしたが、午後にはまた全員で石段を上り、海鳴神社に参拝しました。帰りは、北山を螺旋状にぐるりと一周する「傾斜の緩い遊歩道」を全員でゆっくりと下って行きます。
山の北側斜面に回り込むと、そこから真北には奥峰が見えました。
(そう言えば、アインスはあそこから昇天したんやったなあ……。あれが、もうほとんど四半世紀も前のことになるんか……。)
はやては、遊歩道の途中でふと足を止め、そんなことを思い起こしたのでした。
こうして、日曜日の夕方、はやてたち一行は月村家の屋敷に戻り、そこで夕食を取ってから、すずかやアリサと別れ、9名そろって〈グラーネ〉に転送されました。
フユカとハルナはまだバリアが上手く張れないので、即時移動もできません。それで、はやても復路は「娘たち」と一緒に〈グラーネ〉で、ゆっくりと時間をかけてミッドに帰ることにしたのです。
小型艦なので船室も少々狭苦しい代物でしたが、はやてはそれを苦にする様子も無く、みずから「双子と同室」の状況を選択しました。最近では『自分はこの子たちの母親なのだ』という感覚もだいぶ身について来たようです。
「おかあさん、おかあさん。きいて、きいて」
「うん。何かな?」
「あのね。うみなりでね……」
そんな感じで、フユカとハルナは三日間、飽きもせずに、海鳴市で気づいたいろいろなことを、はやてに語って聞かせてくれたのでした。
一方、この春から魔法学校の初等科の1年生となったロデリア・ペルゼスカ(7歳)にとって、目下の心配事は、『4月には自分の入学をあんなに喜んでくれていた母親が、5月からは随分と意気消沈してしまっている』ということでした。
何かと早熟な子なので、理由はすでに見当がついています。
だから、6月にな
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