第百三十二話 イベリスその六
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「貴重なものになったって思うわ」
「咲ちゃんにとって」
「とてもね」
こう言うのだった。
「思えるわ」
「それね、財産ね」
愛はその話を聞いて咲に応えた。
「言われるとね」
「そうなるわよね」
「咲ちゃんの心のね」
「心の財産ね」
「それよ」
まさにというのだ。
「本当にね」
「そうなってるのね」
「これからそうした心の財産をね」
「持って行くことね」
「増やしていってね」
「そうしていくことね」
「いいものを沢山持っていれば」
財産、心のそれをというのだ。
「それだけね」
「心がよくなるのね」
「そう、そしてね」
そのうえでというのだ。
「幸せになれるわ」
「初恋、失恋もなのね」
「同じってことね」
「そういうことね」
「じゃあこれからも色々あるけれど」
愛は自分のお茶を飲みつつ話した。
「咲ちゃんはその色々なことをね」
「心の財産にして」
「生きていってね」
「思い出にもして」
「今回みたいにね」
「そうすればいいわね」
咲は笑顔で応えた、そうしてだった。
二人でローズティーを飲んだ後で植物園の他の場所を巡っていった、それが一通り終わったその時にだった。
愛は咲にだ、こう言った。
「遅くなったけれどお昼ね」
「食べる?」
「何食べる?」
「植物園の食堂とか」
咲はそちらはどうかと話した。
「どうかしら」
「ここのね」
「どうなの?ここの食堂は」
「実はここの食堂独特で」
それでというのだ。
「植物園だから」
「それでなの」
「ベジタリアンなお料理が多いの」
「そうなの」
「カレーならね」
この料理ならというのだ。
「野菜カレーが多いの」
「そうなの」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「茸カレーもあるの」
「どっちも確かにベジタリアンね」
咲も話を聞いて頷いた。
「確かに」
「他のお料理もね」
「お野菜とか」
「茸、あと果物ね」
「そう聞くとヘルシーね」
「ヴィーガンかしらね」
「ヴィーガンね」
「まあ誰にも強制しないなら」
即ち自分だけの信条で収まっていればというのだ。
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