第百三十二話 イベリスその四
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「そうよね」
「そうね、初恋があって」
「それが終わってね」
それでとここでも自分から言った。
「思い出にね」
「なったわね」
「だからね」
それでというのだ。
「丁度ね」
「いいわね」
「思い出ね、それになったら」
咲は微笑んで話した。
「切なさと辛さもあるけれど」
「それでもなのね」
「いい経験になっていくってね」
「思うのね」
「そうもね、終わったばかりで」
それでというのだ。
「思い出になったばかりだけれど」
「それでもよね」
「ええ、けれどね」
「なっていることはなっているから」
思い出、それにというのだ。
「今このお花が」
「意識されるのね」
「いいお花ね」
そのイベリス、無数の小さく可憐な形の白い花達を観ながらだ、咲は微笑んだまま愛に対して話した。
「緑の幹や葉の間にある感じで」
「そうね、言われてみれば」
「それでね」
咲はさらに話した。
「小さなお花が沢山あって」
「可愛い感じもするわね」
「初恋って子供がするものって思えば」
そう考えればというのだ。
「この大きさと形もね」
「丁度いいわね」
「そうよね、思い出よね」
「今の咲ちゃんにとっては」
「もうね、思い出っていいわね」
こうもだ、咲は言った。
「心の中にあっていつも意識されていて」
「どう意識するの?」
「さっきも言ったけれど辛くて苦しいけれど」
それでもというのだ。
「楽しくて甘くて優しい」
「そうも意識するのね
「実際恋をしている間はそう思ったから」
楽しくて甘くて優しい、というのだ。
「そのことも覚えているから」
「だからなのね」
「そうも意識するわ」
失恋の時の辛さと苦しさもあるがというのだ。
「本当にね」
「そうなのね」
「そうね、初恋ってこんなものよね」
イベリスを観ながらこうも言った。
「終わったけれど」
「いい思い出ね」
「凄くね、来てよかったわ」
咲はイベリスを観続けつつ愛に話した。
「このお花観られたから」
「それでなのね」
「お姉ちゃんに連れて来てもらってよかったわ」
こうも言ったのだった。
「本当にね」
「そうなのね」
「またここに来て」
「イベリス観たいのね」
「好きにもなったから」
「イベリスを」
「だからね」
それ故にというのだ。
「また来たいわ」
「じゃあ一人でも?」
「ここに来たくなったら」
その時はというのだ。
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