第百三十二話 イベリスその一
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第百三十二話 イベリス
秋は進みすっかり寒くなっていた、愛はそんな中で咲の家に来て彼女に明るい笑顔で誘いをかけた。
「植物園行かない?これから」
「えっ、お姉ちゃんが植物園!?」
咲はこのことに驚きの声をあげた。
「珍しいわね」
「カラオケとか駅の周りとかね」
「お姉ちゃんが一緒に行こうっていう場所は」
「そうした場所ばかりよね」
「だからそうしたところ行くって」
「私だってよ」
愛はその咲に笑って応えた。
「最近までね」
「植物園行かなかったの」
「それが大学でお友達に言われたの」
「どう言われたの?」
「植物園もいいってね」
その様にというのだ。
「言われたの、それで試しに行ってみたら」
「よかったのね」
「だから咲ちゃんもって思って」
「誘いかけてくれたの」
「今日休日だしね」
「私の家に来るって聞いてたけれど」
「これが目的だったのよ。嫌だったらね」
咲がそう言えばというのだ。
「カラオケに行くかうちで遊ぶか」
「どっちかなの」
「駅巡りもあるけれどね」
「そうね」
愛の話をここまで聞いてだ、咲は答えた。
「折角誘ってくれたし」
「植物園ね」
「小学校の時にお父さんとお母さんに連れて行ってもらったけれど」
休日出勤の父と家の中で家事をしている母のことを思いつつ答えた。
「それ以来ね」
「なかったわね」
「ええ、これも縁よね」
「何処かに行くこともよ」
愛は咲の今の言葉を受けて笑顔で話した。
「それもね」
「縁なのね」
「そうなのよ」
「そうしたものなのね」
「ええ、じゃあね」
「今から」
「植物園行きましょう。叔母さん咲ちゃん連れて行っていい?」
丁度家の中で掃除をしている咲の母に尋ねた。
「そうしても」
「いいわよ」
愛に笑顔で答えた。
「それじゃあね」
「行って来るわね」
「咲を宜しくね」
笑顔のまま言うのだった。
「今回も」
「ええ、安全にね」
「案内して楽しませてくれるわね」
「悪い虫なんてよ」
愛は警棒やスタンガンやブザーも出して話した。
「こうしたものでね」
「撃退するのね」
「危険な場所にも行かないしね」
最初からというのだ。
「そうもするし」
「愛ちゃんはそうよね」
「だからね」
それでというのだ。
「安心してね、植物園観終わったら」
「すぐに帰った方がいいわね」
咲が言ってきた。
「時間によるけれど」
「暗くならないうちにね」
「モコのお散歩もあるし」
「そのことは忘れないわね」
「朝も行ったけれど」
咲が連れてだ。
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