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第五十話 死守その十九

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「それで、です」
「いいのね」
「はい、俺としては」
「わかったわ」
 庚は微笑んで応えた。
「ケーキやタルトやシュークリームをね」
「用意してくれますか」
「アイスクリームやプリンもね」
 庚はこうしたものも出した。
「皆が退院して揃ったら」
「その時はですね」
「楽しみましょう」
 生きている者達でというのだ。
「そうしましょう」
「それなら生きて帰ります」
「そうしてね」
「必ず」
 封真はまた答えた、そしてだった。
 目覚めると朝食と身支度を済ませて登校した、そうして学校で小鳥と共にいる神威と出会ったところで彼に問うた。
「剣は受け取ったな」
「受け取った」
 神威は一言で答えた、そのうえで封真に問い返した。
「そしてお前もか」
「今夜受け取る」
 これが封真の返答だった。
「そしてお前の前に向かう」
「そうするか」
「東京タワーだな」
「ああ、あそこだな」
「戦おう、これが最後だ」
「お互いにな、だがな」
「死ぬな、神威」
 封真の方から言った。
「絶対にな」
「お前もだ、俺が勝つが」
「生きる、安心しろ」
「そうしてくれ」
「俺も勝つつもりだ、だがな」
「お互いにな」
「死なないことだ」
 こう言うのだった。
「それは絶対だ」
「そうだな、しかし」
「勝つのはな」
「お互いだな」
「そうだな、ならな」
「夜だ」
「戦うぞ」
 二人で言葉を交えさせた、そして小鳥も言った。114
「私もね」
「来るか」
「そうしていいのね」
「そうしたいならそうしろ」 
 封真は妹にも答えた。
「そして最後までだ」
「見させてもらうわね」
「お前を殺さずに済んでよかった」 
 封真は今心から思った。
「本当にな」
「あの時ね」
「ああ、俺のままでいられてな」
 それでというのだ。
「よかった」
「うん、私もね」
 小鳥も言った。
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