第五十話 死守その十四
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「救えない」
「だからですか」
「俺はそうする」
絶対にというのだ。
「何があってもな」
「そうなのですね」
「決めた、だから封真も救って人間も救ってだ」
「わらわもですか」
「そうする、諦めずな」
「そうなのですね、希望を持っていいですか」
「いい」
こう言ったのだった。
「姫様もな」
「わらわも」
「希望を持ってはいけない人間なぞいるか」
神威は断言した。
「それこそだ」
「誰もがですか」
「希望を持ってだ」
そうしてというのだ。
「生きることだ、運命もだ」
「決まっていない」
「そうだ、そのことは言うまでもないな」
「実は天の龍も地の龍もです」
丁は自分が夢で見た未来、運命を話した。
「多くの人が命を落とす筈でした」
「空汰だけでなくか」
「そうなる筈ですが」
「少なくとも天の龍は皆生きている」
「今も」
「地の龍も一人は死んだが」
桜塚星史郎、彼はというのだ。
「他の者は生きている、そのことを見るとな」
「運命は変わる」
「何も決まっていない、姫様が観たのは運命の一つだ」
「そうなるとはですね」
「限らない、最悪の運命も努力すればだ」
「変わる」
「姫様の運命も変える、絶望することはない」
決してというのだ。
「希望を持ってだ」
「夢を見て」
「そしてこれからもな」
「生きることですね」
「そうなる様にする、ではな」
「これよりですね」
「剣を受け取り」
今も自分の前に浮かぶそれをというのだ。
「そしてだ」
「最後の戦いに行かれますか」
「そうする、そして人間も姫様もな」
「救ってくれますか」
「今からそうしてくる」
こう言ってだった。
神威は剣を握った、そのうえで戦場に向かった。丁はその彼に問うた。
「場所はわかっていますね」
「もう一つしかないな」
「はい、東京の最大の結界です」
「東京タワーだな」
「あちらです」
「あそこしかないと思っていた」
神威は前を見据えつつ後ろから言う丁に答えた。
「最早な」
「左様ですね」
「だからな」
それでというのだ。
「東京タワーに行って来る」
「それでは」
「行ってこいや」
空汰が声をかけた。
「見守ってるで」
「僕が言える言葉は一つだよ」
昴流の言葉は肩に手をかける様なものだった。
「生きて帰って来るんだ」
「運命を決めてきて下さい」
征一狼は微笑んで告げた。
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