第五十話 死守その十三
[8]前話 [2]次話
「その様なことは」
「もう一人の姫様は強いか」
「わらわも抑えられなくなっているのです」
自分自身すらというのだ。
「ですから」
「倒せはしてもか」
「命を奪えばそれで終わりですが」
それでもというのだ。
「封じるならです」
「それ以上の力が必要か」
「殺さないまでに弱め」
そうしてというのだ。
「そこからわらわが天寿を全うすれば消えるにしても」
「それでもか」
「それはです」
実にというのだ。
「多くの力が必要です」
「東京の結界を以てしてもか」
「それを全て修復しても」
戦いの中で壊されたそれ等をというのだ。
「それでもです」
「そうなのか」
「ですから」
それ故にというのだ。
「無理です」
「そうか、だが俺は決めた」
「封印しますか」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「何があってもな」
「わらわもですか」
「生きる様にだ」
「そうしてくれますか」
「ああ、そうする」
「地の龍の神威と闘い」
「そのうえでな」
誓う様に言った、すると。
丁は暫く時間を置いてだ、そうして神威に答えた。
「期待させてもらっていいですね」
「そうしてくれると嬉しい」
「わかりました、それでは」
丁は頷いた、そうしてだった。
剣を出した、そのうえで己の前に宙を浮かさせて話した。
「この剣を預けます」
「遂にだな」
「この剣を用いてです」
「封真と闘いか」
「そしてです」
「もう一人の姫様も封じる」
「そうされて下さい、その場所は」
もう一人の自分のというのだ。
「その時にわらわがです」
「教えてくれるか」
「そして導きます」
そうするというのだ。
「その様に」
「してくれるか」
「はい、ですが」
「それでもか」
「わらわのことは構わないで下さい」
「死んでもいいか」
「それでこの世界、人間が救われるなら」
それならというのだ。
「わらわは身代わりの贄でもありますから」
「いいのか」
「はい、どうしてもというなら」
「その話は聞かない」
これが神威の返答だった、表情も厳しい。その顔で丁を間近で見てそのうえで彼女に語るのだった。
「必ずだ」
「もう一人のわらわを封印し」
「姫様も救う」
「人間もそうして」
「姫様もな」
「全てを救えるものではないですが」
「だが救おうとしなければだ」
そうしなければというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ