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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
自由惑星同盟の最も長い3カ月
将校たちは踊り始める
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は黙ってビールを飲み、枝豆を貪り、サシミの盛り合わせを注文した。
「ビュコック爺さんが宇宙艦隊司令長官だって?あの人は言っちゃなんだがもう年だろ?2年持つのかよ」
「ってことは次期司令長官にボスか?」
まあ妥当ではあるが、と航法屋が呟いた。
「いいや、それがイゼルローン要塞に2個艦隊を中心にした方面軍司令部を設置するそうだ」
「艦隊司令官より上か……中将が任じられても実質的には大将に準じた扱いになるのか?」
「副司令長官の噂はまだ聞いてねえ。空席のままならボスとそっちの司令官を競わせるつもりだろう」
「はっ!そしてそれを採点するのは校長先生か!」
彼らが思い浮かべるのはウランフ提督やボロディン提督ではなかった。その男は若く、総司令部参謀時代から兵や下士官からの評判は決してよくなかった。
彼らは無意識にであるが、戦火が遠のいたことへの期待の副産物、緊張の途切れを享受していた。彼らが悪いのではない。29年もの間、延々と続いた【本土決戦】がなくなったことにはそれほどの意味がある。
そして【縦深】は彼らの復興(そして一部構成邦の帰還)のために包括的な法案の提出という観測気球があげられた。
「ロボスの親父はカンカンらしいぜ。なんでも総司令部の幕僚たちの議員周りだけじゃねえ。あっちこっちの艦隊司令部や駐留艦隊の幕僚が構成邦の党幹部やら地方財界の有力者やらに【ご説明】に伺っていらっしゃるようだ」
さらに何が悪かったかと言えば、選挙だけでなく統合作戦本部長の任期が訪れたことだ。軍内では将校のみならず一部下士官兵たちにも767年以来……【29年ぶり】に選挙のイシューが自分たちの戦果ではなく、その後になるという自体を理解する政治意識を持っていた。だがその光景を明瞭にするだけの【経験】を持つものはあまりに少なかった――当然である、当時を知るのは最年長のビュコック中将は兵隊上がりであり、ほかは30代に入ったばかりか20代、730年代マフィアの若すぎる台頭が招いた停滞もあり【上が詰まっていた】のである……軍中枢にいた者は一握り未満であり、そうした人間はそそくさと構成邦中枢や政界へ繰り出してしまうものだ。
「おっかないな、俺たちみたいな現場屋にゃ雲の上の話だけどなぁ」
軍の政争は気のゆるみと先行き不透明感で拡大が始まり、意図せずして政府の両手を縛ろうとする同盟弁務官達の活動はその燃料となりつつあった。
「どうする?軍を続けるか?オリオン腕に殴りこむか海賊を追いまわすかの二択だぜ?その上、給料が下がるかもしれねえ」
「どうすっかなぁ、俺たちで組んで運送会社でも起業しないか?」
経理屋の曹長は頬をかきながら言った。彼らは第一艦隊分艦隊司令部付であった。即ち最前線からは遠く、流通経済を肌身で感じ、政治の臭
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