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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
自由惑星同盟の最も長い3カ月
将校たちは踊り始める
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のであれば上院に主導権を握られるのはよろしくありません。急ぎ足元を固めるべきだ」
 そう囁いたのはシトレの内心に軍事的ロマンシチズムと政治的野心が複雑な化学反応を示したのか。あるいは側近の軍官僚が唆したのか――あるいはその両方か。
 いずれにせよまずかったのは最終的に残していた複数の案から一番過激な物を選択し、最高議長宛てに送付したことだ。
 シドニー・シトレ本部長の次の任期における高級軍人事案の主要なものは以下の通りである。
▼同盟軍国防会議議長(名誉職)L・ロボス元帥
▼統合作戦本部長 S・シトレ元帥
▼統合作戦本部次長兼事務総長 D・グリーンヒル大将
▼宇宙艦隊司令長官 A・ビュコック中将(大将へ推薦)
▼統合作戦本部次長兼宇宙艦隊総参謀長 L・クブルスリー中将
▼統合作戦本部次長兼地上軍幕僚総監 中将級を強く要請
▼統合作戦本部事務次長兼管理本部長 A・キャゼルヌ中将
…………(以下省略)…………

 ロボス元帥を同盟軍国防会議議長と「最高議長の求めに応じて、国防委員会・統合作戦本部の所掌事務において重要事項を調整するにあたり開催される」と名目上は国防委員長と統合作戦本部長の間を受け持つ名誉職においやり、グリーンヒル大将を統合作戦本部次長と本部内局を統括する事務総長に横滑りさせつつ自身の腹心を事務次長兼管理本部に推薦し内局の実権は自身の閥とする……。実質的に艦隊総司令部の現体制を一掃し退役が近いビュコックを「ビュコック総司令官・クブルスリー総参謀長」体制を推薦する人事案である。
 これにはロボス元帥ら艦隊派だけでなく地上軍も激怒した。統合作戦本部次長は地上軍・宇宙軍・そして統合作戦本部事務総長の三役が兼任するもの、そこに事務総長にグリーンヒル大将(前艦隊総参謀長)が据えられ『地上軍幕僚総監は中将が望ましい』と【要請】されたのだ、当然である。ドーソン大将は統合情報部や憲兵隊司令官など地上軍と宇宙軍の双方に携わる軍歴を歩んできたのだからなおさらである。
 ちなみにドーソン大将は国防委員会監察本部へ推薦されている。いずれにせよ、宇宙軍――内のシトレ閥で軍令系統、宇宙軍の枢要を確保しようとしたことは間違いなかった。


796年6月中旬 居酒屋「ダンシング・オブ・フラワー」バーラト宇宙港店 

 生ビールジョッキと枝豆を片手に下士官二人が話し込んでいた。
「聞いたか?」
 2人は第1艦隊の分艦隊司令部付の下士官であった。片や主計科であり片や戦艦の航法科のものであった。
「あぁビュコックの爺さんに昇進と宇宙艦隊司令長官ポストの打診だって?」
 
「それにウチのボスが総参謀長らしいぜ?」

「あの人は穏健な保守本流だろう?どのみち順当だからいいが……」

 それでも不穏なものを感じ取っているのだろう、二人
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