第12話:嫉妬の影
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ノノ・メイタperspective
ずらりと騎士が並ぶ謁見の間。
騎士の背後には貴族が正装をして並んでいる。その中にはロアーヌ様の姿もあった。
最奥の玉座にはアルマン国の王が座っている。
僕はは一瞬で空気に飲まれた。
田舎の小さな村で生まれ、平凡な両親に平凡に育てられた僕は、このような場所を、光景を知らない。
あぁ……お腹が痛い。
「ツキツバ・ギンコ。ノノ・メイタ。セツナ。皆前へ」
指示に従い国王陛下の前で片膝を突く。
事前に受けた指導では、王様の声がかかるまで顔を上げてはいけないらしい。
ジョナサンさんによると今日は公式の謁見だそうだ。無礼があれば即牢屋行き。国を救った英雄から一気に転落だ。
あぁ……本当にお腹が痛い……
「この度のデスアントの女王の討伐、まことに見事だった。すでに大部分を軍が討伐していたとは言え、巣穴に籠もったアレを仕留めるのはさぞ苦労したことであろう」
王様の言葉に対し、ツキツバさんは冷静に答える。
「いえ、寧ろ貴重な経験が出来て光栄でした。ただ、敵総大将の歯応えが無かったのが少々残念でした」
「そ……そうであったか。我が軍は非常に優秀だが、今回はあと一歩及ばなかった。もし貴公がいなければこの王都はどうなっていたか。全ての民に代わり礼を言う」
「光栄至極にございます」
ツキツバさんが意外と敬語を言い慣れているお陰で、どうにか無礼無く話は進んではいるが……やはりお腹が痛い!
僕達は立ち上がることを許され、すぐに目の前に台車が運び込まれた。
台車の上には山積みとなった白金貨が輝いている。
「そこに7億ある」
「なっ!?」
セツナさんが驚きのあまり王様を直視してしまった。
だってさ、約束は3億だっただろ。なんで4億も増えてるんだよ。
「この金は余からの気持ちだ。遠慮せず受けとるがよい」
「あ……ありがとう……ございます」
セツナさんが完全に圧倒されている……気持ちは解るし……あぁ……お腹が痛い。
「それとツキツバよ、もう1つある」
え?……『もう1つ』ってどう言う意味?
「余は貴公の率いる『サムライ』に英雄の称号を授けようと思っている」
謁見の間がどよめいた。
当然だ。パーティーに称号を与えるなんて。普通は個人に与えるでしょ!
「余は常々思っていたのだよ、なぜ個人に称号を与えなければならないのか。複数いようが英雄に匹敵する強さを誇るのなら、その団体はもはや英雄ではないか。一体どこに不都合がある」
大ありだと思います!同じパーティーでも主要メンバーが替われば実力だって大きく変わる。昔は強くても未来も強いとは限らない。
王様は足を組んでさらに笑みを深める。
「英雄の称号は剥奪できるのだ。役に立たなくなれば捨てれば良い。それが嫌なら後継を必死で育てればいいだけだ。なぁ、ツキツ
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