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八条学園騒動記
第七百三十二話 ナマケモノその六

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「八条グループもな」
「軍需産業も持っていても」
「然程だ」
 これといってというのだ。
「力を入れていない」
「そうなのですね」
「他の産業の方にだ」
「力を入れていますね」
「遥かにな」 
 軍需産業よりもというのだ。
「そうしている」
「左様ですか」
「軍需産業は利益になりにくい」
 大尉は確かな声で語った。
「これは実は昔からだ」
「資本主義社会ではですね」
「そうだ、資本主義は平和であればこそだ」
「利益を得られやすいですね」
「そうなのだ」
 これがというのだ。
「経済活動は平和でないとだ」
「出来ないもので」
「それでだ」
「平和を愛しますね」
「それが資本主義であり」
 この経済の本質でというのだ。
「企業も経営者もだ」
「そうした考えですね」
「戦争なぞだ」
 それこそというのだ。
「求めない、求めるのはだ」
「誰か」
「聖戦なぞ言うな」 
 大尉はこの言葉をここで出した。
「俗に」
「宗教ですか」
「宗教家特にだ」
「好戦的な宗教ですね」
「連合では少ないが」
 それでもというのだ。
「かつてのカトリック等の様なだ」
「好戦的な宗教のですね」
「宗教家はな」 
 彼等はというのだ。
「矢鱈と言っていいまでにだ」
「戦争を求めますね」
「自分達の思想に基づきな」
「利益ではなく」
「そうだ、敵を倒してだ」 
 そうしてというのだ。
「自分達の宗教的目的を達成する」
「神の敵を倒す」
「それが侵略の口実に使われる場合もあるがな」
「宗教家はですね」
「それが利益なのだ」
「敵を倒すことが」
「そうした宗教もある、キリスト教もな」
「かつてはそうでしたね」
「それこそ同じキリスト教徒それも同じ宗派の者でもな」
 そうした者達でもというのだ。
「異なる宗教、宗派の者と区別がつかないなら」
「共に殺していた」
「そうだった、アルビジョワ十字軍がそうだった」
 南フランスに大きな勢力を誇っていた当時ローマ=カトリック教会から見て異端であったカタリ派を征伐する為の十字軍であった。
「カトリックでもだ」
「十字軍はカトリックの軍隊ですが」
「信者達を護るどころかだ」
 その異端としたカタリ派からだ。
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