第七百三十二話 ナマケモノその一
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ナマケモノ
大尉は今度はナマケモノのコーナーに来た、そのうえで木にぶら下がって動かないこの生きものを観つつ同行している上等兵に話した。
「文字通りだ」
「動かないですね」
「この生きものは普段からこうだ」
「動かないですね」
「そこから名前も付いた」
「ナマケモノと」
「そうだ、しかしだ」
大尉はさらに言った。
「その実は然程だ」
「怠けてはいないですか」
「動く時は動いてな」
そうしてというのだ。
「泳ぎ上手で闘いもだ」
「出来ますか」
「あの爪でな」
手足のそれを目にしながら話した。
「闘えるのだ」
「そうなのですか」
「ジャガーにも勝てる」
先程観たアマゾンの猛獣にもというのだ。
「そこまでだ」
「強いのですね」
「実はな」
「それは意外ですね」
「また下手に動かない方がだ」
その方がというのだ。
「安全だったりする」
「アマゾンでは」
「動かないとだ」
そうであると、というのだ。
「木の枝や葉とだ」
「間違えられて」
「気付かれないからな」
「それではです」
上等兵はその話を聞いて言った。
「木にいる緑色の蛇とです」
「同じだな」
「爬虫類のコーナーにいましたが」
先程行ったその場所にというのだ。
「そうした蛇も」
「木にボールの様に巻き付いていたな」
「あの蛇もジャングルにいますね」
「アマゾンにいる種類もな」
「そうですね、それでは」
「そうだ、ナマケモノはこの色だ」
ダークブラウンの毛色も観て話した。
「これならだ」
「木の枝とですね」
「区別がつかないな」
「はい」
上等兵もその通りだと答えた。
「左様ですね」
「だから動かないとな」
「木の枝に見えて」
「安全なのだ」
「そうなのですね」
「特に哺乳類が観るとな」
「あっ、色がわからないので」
上等兵もそのことを思い出した。
「人と猿以外は」
「だから猛獣もだ」
「やり過ごせますね」
「それでだ」
その為にというのだ。
「ナマケモノはだ」
「動かないのですね」
「そうだ」
そうしているというだの。
「余分にな、しかも変温動物だ」
「哺乳類でもですか」
「例外的にな」
ナマケモノはというのだ。
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