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ソードアート・オンライン ーBind Heartー
はじめてのフロアボス
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、もう少しレベルを上げてからだって。安全マージンを取ってあるからって、ちょっとした油断が命取りになりかねないんだからな」
「でも、俺さっきから後ろで隠れてるばっかりなんですけど……」
「あら? 昨日はそれで死にかけてたって聞いたけど?」
アスナに痛いところを指摘され「うぅっ……」と小さくうめき、しぶしぶ鎌剣を後ろ腰の鞘に納めた。一流の細剣士様にこうも見事に図星を突かれたら、誰だって引かざるを得ないだろう。
ちょっぴり同情したところで、俺たちは先に進むことにした。
ここまで四回モンスターと遭遇したが、ほとんどダメージを追うことなく切り抜けている。ただ、トーヤだけはここまで戦闘すらしていないのでHPは一ドットも減っていない。
マージンを取ったばかりのトーヤが前線に出るのはまだ危険だ。戦いたいのであれば、まずはそれなりに経験を積んでもらわなければ困る。
何が起こるかわからない最前線で戦えない他人を守りながら戦うのは、決して楽な事ではない。
そういうこともあって、俺たちは円柱の立ち並ぶ荘厳な回廊をいつも以上に慎重になって進んだ。
しばらく進み、俺たちは回廊の突き当たりに到達した。眼前には、灰青色の巨大な二枚扉が待ち受けていた。全てがデジタルでできたこの世界だが、その扉からは何とも言いがたい妖気が湧き上がっているように感じられてならない。
俺たちは扉の前で立ち止まると、顔を見合わせた。
「あの……もしかして、これって……」
「多分そうだろうな……ボスの部屋だ」
アスナがぎゅっと俺のコートの袖を掴んだ。
「どうする……? 覗くだけ覗いて見る?」
強気なその台詞とは裏腹に、声は不安を色濃くにじませている。最強剣士でもやっぱりこういうシチュエーションは怖いと見える。俺だって怖い。しかし、そんな俺たち以上に怖がっている奴が、約一名。
ぎゅぅぅぅぅっ、とアスナ以上の力でコートの裾が握られる。次いでガタガタ…という小刻みな音が耳に入ってきた。
俺とアスナ、二人そろってその微妙な表情の顔を見合わせて後ろを振り返った。そこにいたのは、これまで感じなかった分の寒さがようやく襲ってきたのか肩までガチガチに振動させている
トーヤである。今にも握りつぶしそうなくらいに俺のコートを掴むそいつは、青い顔とぎこちない笑みが混ざり合ったような奇妙な表情をつくり、こっちを見ていた。
おい、やめろ。皺が寄るだろ。
「だ、大丈夫です……! ビビってませんよ!?」
まだ何も言ってないんだが。
「……ボスモンスターはその守護する部屋からは絶対に出ない。ドアを開けるだけなら多分……だ、大丈夫……じゃないかな……」
「せめて大丈夫って言い切ってくださいよぉ……」
自信なさそうに消える語尾に、トーヤの情けなさ前回のす
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