第百十一話 チャックその六
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「芸能界って」
「アイドルじゃなくて漫才師で売れてもかよ」
「だって売れないと」
そうでなければというのだ。
「やっていけないでしょ」
「それはな」
明男も否定しなかった。
「やっぱりな」
「だからね」
それ故にというのだ。
「アイドルでも漫才師でもね」
「売れたらいいか」
「それでね」
かな恵はさらに言った。
「ずっと一緒だったらね」
「もっといいか」
「アイドルも漫才師も解散するでしょ」
「ああ、コンビでもな」
「お金で揉めることが多いらしいけれど」
要するにギャラの取り分のことだ、どちらが多いか少ないかで衝突しそれが解散に至ってしまうのだ。
「そうしたことなくね」
「ずっと一緒でやっていけたらいいか」
「いくよくるよさんみたいにね」
女流漫才師の先駆けである、その外見もやり取りも実に対象的だった。
「もうずっとがね」
「あの人達長かったな」
「学生時代に知り合ってね」
ソフトボール部の部活で知り合ったという。
「もうそれからね」
「ずっと一緒だったんだな」
「お二人はね」
「凄いな、それも」
「もうお互いに結婚したっていう位ね」
ご本人達の言葉である。
「ずっと一緒だったのよ」
「そう言えるのも凄いな」
明男は素直に感心して言った。
「本当に」
「そうよね」
「尊敬出来るな」
「悪口言えないわよね」
「人の悪口なんて言うものじゃないけれどな」
明男はこうも言った。
「そうした人達はな」
「尊敬しかないわね」
「俺は漫才は観るだけだけれどな」
それでもと言うのだった。
「アイドルも。けれどな」
「ずっと一緒だとね」
「それに越したことはないよな」
「一番いいわね」
「そうだよな、じゃあ姉ちゃんそのアイドル兼漫才師の人達をか」
「これからもね」
まさにと言うのだった。
「応援していくわ」
「そうするんだな」
「好きだからね」
ゲームをしながら話した、やがて父親に今からドラマを観ると言われてだった。
かな恵はゲームを自室に持って行って明男も自室に入った、そうしてかな恵はゲームを再開したが。
ここでだ、理虹から携帯に電話がかかってきたので出ると彼女からこんなことを言われたのだった。
「今何着てるの?」
「何ってジャージよ」
かな恵はすぐに答えた。
「それがどうしたの?」
「いや、さっき妹に言われたのよ」
かな恵に対して話した。
「ジャージのチャックについてね」
「それで聞いてきたの」
「何着てるかってね」
「そうだったのね」
「いや、私も今ジャージだけれど」
こうかな恵に言った。
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