第百十一話 チャックその二
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「現実じゃないよ」
「まさにそうよね」
「他のチームから選手を掠め取ることばかり考えてな」
球界の盟主とやらの偽りの看板を掲げてだ、俗に巨人ブランドという全体主義の誇大宣伝の様な代物である。
「他にもやりたい放題ばかりやってきた」
「そんなチームだからね」
「悪役以外の何なんだよ」
「そうよね。けれど今は」
かな恵はプレイを続けつつ巨人の現在を話した。
「育成完全に放棄して設備もスタッフもね」
「全く駄目になってな」
「親会社も落ち目になって」
「お金なくなってな」
「それでも過去の栄光にしがみついて」
そうしてというのだ。
「プライドばかり高くて」
「やりたい放題ばかりしようとしてな」
「叩かれて顰蹙買って」
「スター選手いなくなってフリーエージェントでも誰も来なくなってな」
「助っ人もトレードも大失敗ばかりで」
「監督もコーチも碌な人いなくてな」
そうした全世界の正義を愛する者にとって最高の状況になっていてというのだ。
「それで」
「ああなったわね」
「もうな」
巨人はというのだ。
「完全に駄目だよ」
「そうよね」
かな恵も同意して頷いた。
「あそこはね」
「暗黒時代が」
それがというのだ。
「これからもだよ」
「ずっと続くわね」
「選手もやる気ないだろ」
「練習してないのよね」
「試合前は遊ぶかな」
勿論試合後もだ。
「寝てるかだしな」
「そうだとね」
「弱い筈だよ」
「そうならない筈がないわね」
「それにな」
姉にさらに話した。
「ミーティングだってな」
「してないのね」
「作戦もなくて」
「ただ野球してるだけね」
「完全なカスチームだよ」
今の巨人はというのだ。
「野球ゲームでもダントツで弱いだろ」
「そうなの」
「ああ、姉ちゃん野球ゲームしなかったか」
「だからそっちはね」
リアルは知っているがというのだ、だがかな恵の返事はこれといって詳しさを感じさせるものではなかった。
「知らないわ」
「そうだったな、けどゲームでもな」
「巨人弱いのね」
「もう何もかもがな」
それこそというのだ。
「いいところのない」
「そんなチームね」
「だからな」
それでというのだ。
「プレイしたら優勝することは」
「不可能?」
「弱過ぎてな」
「そうなのね」
「兎に角な」
「ゲームでも弱いって」
「すぐにエラーして」
どの選手もというのだ。
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