第百三十一話 吹っ切れてその九
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「頑張るんだよ」
「ファンとして」
「それが本当のファンだよ」
「そうですよね」
咲もそれはと頷いた。
「やっぱり」
「嬢ちゃんもわかってるな」
「そのつもりです」
「だったらな」
それならというのだった。
「これからもヤクルト応援しなよ」
「そうします」
「神宮にも行ってな」
そうもしてというのだ。
「それでな」
「はい、それじゃあ」
「俺もな」
マスター自身もというのだ。
「時々でもな」
「所沢行かれてますか」
「そうしてるよ」
咲に笑って話した。
「あそこにな」
「ペルーナドームですね」
「昔は西武スタジアムって言ったんだよ」
「ドームじゃなかったですね」
「ああ、それをドームに改修してな」
そうしてというのだ。
「今に至るんだよ」
「そうですね」
「春先とか寒くてな」
そのペルーナドームの話もした。
「夏は暑いな」
「そう言われてますね」
「けれどファンとしてはな」
「それもまたですね」
「いいんだよ」
こう言うのだった。
「本当にな」
「そうなんですね」
「チームの試合が観られるからな」
「西武のですね」
「やっぱりそれがいいさ、交流戦の巨人の試合も観たよ」
マスターはこうも話した。
「六月にな」
「三試合連続完封でしたね」
「全試合十点以上入れてな」
「圧勝でしたね」
「もう球場フィーバーだったよ」
その時はというのだ。
「巨人三タテでな」
「全部圧勝で」
「よかったよ、幾ら弱くてもな」
「巨人は巨人ですね」
「憎っくきな」
「そうですよね、私も大嫌いですし」
咲にしてもだ。
「もうずっとです」
「最下位であって欲しいな、けれどな」
マスターはそれでもと話した。
「その巨人があるから最下位はなくてもな」
「好きなチームが弱い時期もありますね」
「暗黒時代ってあるんだよ」
どうしてもというのだ。
「それがないチームなんてな」
「ないですか」
「阪神なんて凄いだろ」
今は圧倒的な強さを見せるこのチームはというのだ。
「暗黒時代な」
「十五年位でしたね」
「三年に二年は最下位でな」
そうした有様であった、この頃の阪神は連勝すれば快進撃と言われ矢鱈と負けてネタにされていた。
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