第八幕その十一
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皆で観て行きます、するとエメラルドの都を忠実に再現した舞台が第二幕に出て来てです。
皆その再現ぶりに息を呑みました、そして魔法使いが動かしていた巨大なお顔に変装していた天使に火の玉にもです。
その再現の見事さに唸りました、そうして冒険でのかかしや樵、臆病ライオンの活躍の迫力とドロシーと魔女のやり取りもありましたが。
「いつも観て思うのはね」
「何かな」
「いや、私こんな利発だったかしらってね」
臆病ライオンに少し苦笑いでお話するのでした。
「思うのよ」
「この歌劇を観て」
「そうなのよ」
「それを言ったら僕もね」
臆病ライオンもでした。
「さっきも言ったけれど」
「恰好よ過ぎるのね」
「そう思うよ」
「全くだね」
「本人が観るとどうしてもそうかなってなるね」
かかしと樵も言います。
「どうにも」
「そうだね」
「私もね」
魔法使いも言います。
「もっと恰好悪いよ」
「僕だってね、こんなのかな」
「これが創作ってことね」
ドロシーはトトに少し達観して言いました。
「要するに」
「どういうことかな」
「実際よりも美化されているのよ」
こうトトに言うのでした。
「創作だとね」
「そうなるんだ」
「その方がお話が面白いし」
美化する方がというのです。
「創る人達歌劇だと作曲家や脚本家の人達が見た私達もね」
「出ているんだ」
「私達自身が自分達をどう思っていても」
「それでもだね」
「その人達が見た私達はね」
「こんな風だったりするんだ」
「主観と客観は違っていて」
その両方がです。
「その為にね」
「歌劇での僕達はこんな風なんだ」
「成程ね、そういえば僕達皆から愛されてもらっていてね」
臆病ライオンもそれではとなりました。
「人気があるね」
「そして私達を好きでいてくれるなら」
「とても素敵に書いたりしてくれるんだね」
「描いて作曲して演奏してくれてね」
そうしてと言うドロシーでした。
「歌ってくれるのよ」
「そういうことだね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「このことはね」
「受け入れることだね」
「こうしたものだってね」
その様にというのです。
「笑顔でね」
「そうなんだね」
「ええ、オズの国では悪くは書かれないしね」
「よく書かれるね」
「そうでもあるから」
だからだというのです。
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