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新オズの臆病ライオン
第八幕その十

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「いや、こんなに恰好いいかな」
「美形過ぎるよ舞台の僕は」
「ここまでスマートじゃないよ」
「私だってね」
 ドロシーも言います。
「もっとあたふたしていたわね」
「ううん、この時僕はドロシーに頼りきりで」
 トトもその時のことを思い出しています。
「こんなのではね」
「違ったのね」
「僕はそう思うよ」
「しかし凄い舞台だね」
 魔法使いはそちらを観て唸っています。
「アニメみたいにどんどん変わっていってるよ」
「そうよね、森に村に川に橋にって」
 ドロシーは魔法使いの言葉に頷きました。
「私達のあの冒険の場がね」
「次々に出て来るね」
「それも忠実にね」
「そうなっているね」
「歌だって」 
 臆病ライオンはそれを聴いて言いました。
「素晴らしいね」
「そうね、どの歌手の人もね」
「見事な歌唱だよ」
「本当にね」
「僕はバスかな」 
 臆病ライオンは声のお話をしました。
「これは」
「そして僕はバリトンかな」
「僕はテノールだね」
 樵もかかしも言いました。
「明るくてコミカルな感じの」
「そんな風だね」
「僕も明るいテノールだね」
「それで私はソプラノね」
 トトに続いてドロシーも言いました。
「この声の高さは」
「そんな感じだね」
「貴方も高いテノールで」
「ドロシーも高いね」
「ううん、これはね」
 魔法使いは笑って言いました。
「いいね」
「魔法使いさんはバスバリトンだけれど」
 ドロシーは前にも作品を観たのでこのことを知っています。
「明るく楽しいね」
「そんな声だね」
「そうよ、それで西の国の魔女はね」
 この人はといいますと。
「メゾソプラノでも低いのよ」
「そちらの声だったね」
「それぞれの役がね」
「声の域で区分されているのが歌劇だね」
「それでね」 
 その為にというのです。
「皆それぞれの声の域になっているわね」
「そうだね、それじゃあね」
「聴いていきましょう」
「そうしようね」
 こうしたお話もしてです。
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