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第五十話 死守その九

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「そのうえでよ」
「話しますか」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「お話しましょう」
「そうしますか」
「遂にこの時が来たわね」
 庚は辛そうな顔でこうも言った。
「覚悟はしていたけれど」
「覚悟ですか」
「そう、していたけれど」
 それでもというのだ。
「まず謝っておくわ」
「俺に、いや」
「そう、その時にまた言うけれど」
「俺達全員にですか」
「そうさせてもらうわ」
「まさかと思いますが」
「姉さんを見たわね」
 封真に彼女のことも話した。
「もう一人の」
「これまであの人のことは知りませんでした」
 封真は真摯な顔で答えた。
「本当にあの時にです」
「はじめて感じたわね」
「そうでした」
「そうね、言っていなかったから」
「その言葉は」
「知っていたわ」
 辛い顔のままでだ、庚は封真を見据えて答えた。何とか視線を逸らさず向かい合っている、そんな目だった。
「私はね」
「そうだったんですね」
「そしてそのことをね」
「お話してくれますか」
「夢の中でね」
「今夜ですね」
「そうするわ」
「ではお願いします」
 封真はこう応えてだった。
 眠りに入った、すると夢の中で六人が集まっていた。牙暁は仲間達を見回してそのうえで彼にも声をかけた。
「来てくれるかな」
「大事なお話だからですね」
「うん、いいかな」
「わかりました、僕もですしね」
 声の主は応えて姿を現した、封真は彼を見て言った。
「星史郎さん、しかし」
「魂です」
 星史郎は微笑んで答えた。
「僕は確かに死にました、ですが」
「魂はこの世にですか」
「残っていまして」
 それでというのだ。
「今もです」
「俺達の前に出てくれますか」
「夢の中で。ではこれより」
「うん、庚が話してくれるよ」
 牙暁は目を閉じて答えた。
「これからね」
「そうか、かなり大事な話だな」 
 草薙は真剣な顔で答えた。
「俺達全員を集めてとはな」
「そうですね、ではこれからです」 
 遊人は夢の中でも普段通りの態度だった。
「お話を聞かせて頂きます」
「庚が来てからね」
 颯姫もいつもと変わらない。
「まずは」
「そうですね、何か待ち遠しいですが」
 ??はその気持ちをはっきりと感じていた。
「それまではここにいます」
「もうすぐ来るから」
 だからだとだ、牙暁はまた言った。
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