第五十話 死守その六
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「違うな」
「神威、まさかこれは」
「ああ、どうやらだ」
神威はその声を感じた方を見上げ空汰に応えた。
「俺はこれまで気のせいだと思っていたが」
「もう一人のおひいさんか」
「間違いないな」
「そうだな」
「おい、とんでもなく禍々しい気やで」
空汰も声がした方を見つつ言った。
「これは」
「そうだな、これはな」
「何やっていう位のな」
「ここにいては危険か」
「すぐにその場を離れて下さい」
丁の声も言ってきた。
「さもなくば危険です」
「そうだな、空汰跳ぶぞ」
「ああ、今すぐな」
空汰も頷いて応えた、そしてだった。
実際に跳んだ、そこに凄まじい衝撃波が来た。神威は何とかかわせたが。
空汰は嵐を抱いてしかも彼女を護っている分動きが遅れた、しかも怪我の影響もあった。それで尚更動きが鈍っていて。
攻撃を避け切れなかった、それで咄嗟にだ。
全身で嵐を護りに入った、その上で言った。
「嬢ちゃんいや嵐だけでも」
「空汰!」
「神威悪いな」
咄嗟にそちらに行こうとするが跳んでいる途中で動きを中々戻せない神威に謝罪した。
「やっぱりわい嵐を護ってな」
「馬鹿な、運命は変わった筈だ」
「そうやなかったみたいや」
「くっ、このままでは」
「神威、安心しろ!」
ここで封真が言ってきた、そして。
衝撃波に対して自身の気を放った、衝撃波はあまりにも強く全ては相殺出来なかった。だがそれでもだった。
威力をかなり減らせた、それで空汰もかわしきれなかったが。
「痛いわ、けどな」
「無事だな」
「ああ、何とかな」
嵐を庇って衝撃波を背中に受けて大怪我を負ったが。
笑っていた、意識は明らかにはっきりしていた。そのうえで神威に答えた。
「無事やで」
「そうか、それは何よりだ」
「また怪我したけどな」
「私の為に」
抱かれている嵐も言った。
「そこまでしてくれるなんて」
「当たり前やろ、大切な人やしな」
空汰は嵐にも言った、それも微笑んで。
「これ位は当然や」
「そう言ってくれるのね」
「そや、封真が助けてくれて命に別状はないしな」
「それじゃあ」
「帰ろうな」
「ええい、またしくじったか」
「勝手はさせません」
禍々しい丁の声に清らかな丁の声が告げた、そして。
何かが動いたことが空から感じられた、そのうえで今度は清らかな声がした。
「神威、貴方は今のうちにです」
「空汰と嵐を連れてだな」
「はい」
即座に答えた。
「お願いします」
「それではな。封真礼を言う」
神威は彼にも顔を向けて言った。
「お陰で空汰が助かった」
「気にするな、だが」
「ああ、今のはだな」
「絶対に何かあるな」
「ない筈がないな」
神威も言った
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