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第五十話 死守その二

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「急いで下さい、そして」
「そして。どうした」
「若し後でわらわが何か言ってきても」
 それでもというのだ。
「そのまま公園に向かって下さい」
「井の頭公園にか」
「はい、結界である」
「後で姫様が他の場所に行けと言ってもか」
「聞かないで下さい」
 こう言うのだった。
「是非」
「何や、けったいなこと言うな」
 空汰もその声を聞いている、それで眉を曇らせて言った。
「後で何と言うても」
「そうだな、だが今は考えている暇はない」
 神威はその空汰に告げた。
「だからだ」
「ここはやな」
「姫様の言葉を聞いてだ」
 そのうえでというのだ。
「そのままだ」
「公園に行くか」
「闘いはそこで行われている」
「それやとやな」
「そしてもう動けるのはな」
「二人とわい等だけやな」
「それならだ」
 神威はさらに話した。
「公園に行くしかない」
「他の選択肢はないな」
「姫様の言う通りだ」
「後でおひいさんが何言うてもやな」
「公園だ、そこに行くぞ」
「わかったわ、ほなな」
「そうして下さい」
 また丁が言ってきた。
「この度は」
「そうしてだな」
「動いて下さい、ここで収まれば」
「そうなればか」
「ことは大きく進みます」
 そうなるというのだ。
「ですから」
「行く」
「お願します」
 丁とやり取りをしてだった。
 そのうえで洋館を出た、留守は護刃と小鳥に任せた。
「頼むな」
「はい、行って下さい」
「留守は任せてね」 
 その護刃と小鳥も応えた。
「帰るまでね」
「留守は守ります」
「宜しく頼む、では行って来る」
「あんじょうな」
 神威だけでなく空汰も応えてだった。
 二人で出陣した、そして公園に向かったが。
 丁の声はなかった、それでも空汰は公園に向かう中で神威に言った。
「おひいさんの言葉がな」
「気になるな」
「ああ、何やったんや」
 言葉で首を傾げさせていた、そうした言葉だった。
「一体」
「気になることがある」 
 神威は即座に答えずまずはこう言った。
「姫様についてな」
「何や」
「姫様から稀におかしな気配を感じる」
「おかしな?」
「気のせいかも知れないが」
 空汰にもこのことは言った。
「しかしな」
「感じるんかいな」
「姫様を真逆にした様な」
「真逆か」
「姫様を水とすれば火だ」
 そちらになるというのだ。
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