【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第9章】バルギオラ事変の年のあれこれ。
【第6節】背景設定9: 第15管理世界デヴォルザムについて。(後編)
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ルディスが管理局の軍に制圧されると、クレモナ中央政府からの「勧告」と最後の統王バムデガル九世の「英断」によって、デヴォルザム統一王国は素早く「管理局との停戦」を受け入れました。
停戦合意の翌年、ミッド旧暦484年(前56年)に、管理局との和平条約が締結され、正式に終戦した後、覚悟していた「王族の処刑」や「賠償金の支払い」などを要求されることも無く、皆が望んでいた平和が無条件で訪れたのですが、それでも、一部の人々はこれを「屈辱的な、事実上の敗戦」と受け止め、「戦犯探し」を始めてしまいました。
そしてやがて、「昔ながらの煩雑な文字体系」が槍玉に挙げられるようになり、伝統的で非合理的な「線形文字」は丸ごと廃止され、代わりに、より単純なミッド文字がそのまま用いられるようになったのです。
戦時中に25歳の若さで即位した「最後の統王」バムデガル九世は、正式に終戦した当時もまだ38歳でしたが、本当に英明な君主でした。
終戦後は、みずから率先して身分制を廃止し、貴族たちの叛乱をも巧みに抑え込み、みずから創案した「共和制憲法」などの先進的な法案を「人民立法院」に審議させ、それらが可決されると、ミッド旧暦486年には、大神官の了承の許に40歳でみずから退位して、子供たち(16歳と10歳の男子、および13歳と7歳の女子)をみな「平民の身分で」ミッドに留学させました。
また、共和制への移行と同時に、共和制の象徴としての「総首都ドグディガム」の建設も始まります。
彼等にとっては「王宮の無い都」など前代未聞でしたが、それは莫大な額の公共投資でもあり、また、戦後復興策の一環でもありました。
そして、退位したバムデガル九世は、もう何年も前から病床に就いていた愛妻(元王妃)とともに山奥の小さな神殿に籠って「隠者のような余生」を過ごしたのですが、「初代大統領」は自力で対処し切れない問題が起きる度に「お忍び」でその神殿を詣で、「隠者バムデガル」からいろいろと知恵を借りていたのだと言います。
その後、「王の不在」により、共和制への移行は驚くべき速さで進行し、デヴォルザムは終戦後わずか17年で、ミッド旧暦501年には正式に〈第15管理世界〉と呼ばれるようになりました。
さらに17年後、「隠者バムデガル」が時代の変化をひととおり見届けた上で、前22年に72歳で妻の後を追うようにして死去すると、「神殿」は彼を「神々の末席に列なる者」として祀りました。
そして、今もなお、「最後の統王」は人々の信仰の対象であり、デヴォルザム人の意識の中では「聖王オリヴィエとも(霊的に)同格の存在」ということになっています。
【バムデガル九世には元々、兄弟も従兄弟も無く、彼の子供たちもみな、留学先のミッドにそのまま
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