【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第9章】バルギオラ事変の年のあれこれ。
【第5節】背景設定9: 第15管理世界デヴォルザムについて。(前編)
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ザムの「統王」に対して、『我々はベルカ貴族なので、相応の待遇を要求する』と言ってのけました。
平たく言えば、『無償で土地をよこせ』ということです。
一方、統王を始めとする統一王国の貴族たちはみな、ベルカには畏敬の念を抱いていました。ベルカからもたらされた知識や技術が無ければ、そもそも「大陸の統一」自体ができていなかったのですから、それも当然と言えば当然のことでしょう。
しかし、現実に、第一大陸にはもう「大量の移民」を受け入れられるだけの土地など余ってはいません。
そこで、統王は惑星周回軌道上で待機している移民船団に対し、『誠に残念ながら』と「古典ベルカ語」で自分たちの事情を説明してから、相手が身分を詐称していることにも気がつかぬまま、実に恭しい口調で次のように続けました。
『代わりに、東方の第二大陸を御自由にお使いください。我々は技術の拙さゆえ、今まで開拓も思うようには進めることができずにおりましたが、あなた方の技術があれば、さぞや荒れ地の開拓など容易なことでしょう。
そちらで開拓された土地は、そのままそちらの所有地にしていただいて結構です。皆様「第一世代」の方々が生きておられる間は、租税も免除させていただきますので、御存分に開拓してください』
移民船団を率いて来た人々は、別室で速やかに協議に入りました。
現地の王からの申し出は、予想以上に良いモノでしたが、欲を言えば、時差の問題があります。しかし、ここで第三大陸の方を要求するのは、かなり不自然な行為でしょう。何より大切なのは、身分の詐称がバレないようにすることです。下手に話し合いを長引かせるべきではありません。
試しに、『何か交換条件として望むものはあるか』と訊いてみると、統王はごく控えめな口調で「次元航行技術の供与」を要求して来ました。ただそれだけです。
戦士階級に属する人々は、「土地を所有する権利」に釣られて、その条件を呑みました。
そして、密かにその旨をベルカ世界の同胞たちに連絡したのです。
この連絡によって、後に、ベルカ世界の西部州から戦士階級や平民階級の人々が、デヴォルザムに殺到しました。
若干名の技術者たちも同胞らに乞われてデヴォルザムへ移民し、約束どおり、現地の人々に次元航行技術を供与します。
また、現地の技術者たちは「六種の神器」のひとつを分解し、ベルカの技術者たちからの指導を受けて、個々のシステムの作り方などについても学んでいきました。
こうして、デヴォルザムは「戦闘的技術立国」への道を歩み出したのです。
ちなみに、ベルカ世界からの〈大脱出〉では、ざっと50年の歳月をかけて、およそ3億6千万人のベルカ人が、合わせて60
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