暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第9章】バルギオラ事変の年のあれこれ。
 【第5節】背景設定9: 第15管理世界デヴォルザムについて。(前編)
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失敗作」であることが判明しました。
 確かに、高出力での攻撃は可能でしたが、魔力消費があまりに大きすぎて、並みの魔導師が使うと、すぐに魔力が欠乏して倒れてしまうのです。
(当時は、まだ「カートリッジ・システム」は実用化されていませんでした。)
 できれば、『魔導師が限界を超えて魔力を使い続けた場合には、どこまで出力が上がるのか』というデータも欲しかったのですが、残念ながら、今回は「過労死させても構わない魔導師」など一人も連れて来てはいません。
 また、一連の実験が当初の予定よりも長引いたため、その(ふね)では「帰途(かえり)の水と食料」がやや不足していました。しかし、この「一面の荒野」では、良質の水や食材など、手に()れられそうにもありません。

 そこで、艦長は『確か、この世界の北半球には原住民がいて、変わり者の学者たちがフィールドワークと称して現地人に成りすまし、どこかの国の都に住み着いていたはずだ』ということを思い出すと、一計を案じて彼等の(もと)へ向かいました。
 要するに、「他でもないケンセルヴァ王国が、ベルカ世界からの助力を得られた理由」は、彼等が民族的に優れていたからでも何でもありませんでした。
 それは、ただ単に『ベルカ人の学者たちがたまたまその王国の都でフィールドワークを行なっていたから』というだけのことであり、また、「その学者たちがフィールドワークの場として(ほか)でもないケンセルヴァ王国を選んだ理由」も、ただ単に『ベルカ系の諸言語とは似ても似つかない異質な言語が学問的に興味深かったから』というだけのことだったのです。

 バレロス王国の人々にとっては、別に相手は誰でも良かったのですが、取りあえず「言葉の通じる相手」でなければ、文字どおりの意味で「話」になりません。
 艦長は、学者たちに通訳の仕事を強要し、ケンセルヴァ王国の国王たちには美味(うま)いことを言って、「実験の継続」を代行させました。
 つまり、彼等に「六台の実験機」を無償で与え、『その力で大陸を統一するように』と(けしか)けたのです。

 実戦データの収集と実験機のメンテナンスのために何人かの魔導技師を現地に残したまま、艦長たちは一旦、ベルカ世界に戻りました。
 ベルカ人の魔導技師たちは皆、貴族のような待遇を受けて気を良くし、やがては「ケンセルヴァ王国による大陸統一」のために誠心誠意その力を尽くすようになります。
 そして、ケンセルヴァ王国はいよいよ本格的に「大陸統一戦争」に乗り出しましたが、この時代にはまだ「戦闘用のデバイス」など他国には全く存在していません。「六台の実験機」の戦闘力はまさに圧倒的なものであり、それらは次第に「六種(むくさ)神器(じんぎ)」と呼び怖れられるようになって行きました。
 こうして、ケンセルヴァ王国は
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