【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第9章】バルギオラ事変の年のあれこれ。
【第5節】背景設定9: 第15管理世界デヴォルザムについて。(前編)
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これもまた線形文字ならではの特徴です。
この名前を普通の表音文字で(例えば、ミッド文字やクレモナ文字で)正しく表記しようとすると、D字とA字の間に「分音符」という(ちょうど、ロシア語における「硬音符」のような)発音区別符号を書き加えなければなりません。】
このように、ケンセルヴァ王国は、今なお大陸全土の民衆の間に一定の支持基盤を持つ「神殿」と固く手を結ぶことによって、その勢力を一気に広げて行きました。
また、〈英雄王〉バムダイガルはその王宮から多くの装飾品を取り除き、わざわざ予算を組んで改修してまで、その王宮をより質素な、それでいて洗練された外見に造り変えました。見るからに豪勢なのは、王都大神殿の方だけで充分だったからです。
英雄王の没後も、ケンセルヴァの貴族たちは末永くその遺訓を守り、奢侈に溺れることなく質実剛健を貫き、文弱に流れることなく尚武の気風を保ち続けました。
そして、ケンセルヴァ王国は公然と「大陸統一」の目標を掲げ、躊躇無く周辺国との戦争を続行していったのです。
しかしながら、その王国が実際に大陸全土を統一できたのは、今から1000年あまり前に彼等が初めてベルカ人(具体的には、西部州の「バレロス王国」の人々)と接触し、その人々からさまざまな知識や技術を授かった後のことでした。
「大陸の統一」は元々、別の世界の敵に対抗するための「手段」だったはずなので、『大陸統一のために、別の世界の力を借りる』というのは、冷静に考えると「本末転倒」だったのですが、幸いにも、遠くベルカ世界から来訪したバレロス王国の人々が、ケンセルヴァ王国の人々に対して何かしら強権的な行動を取ることは一切ありませんでした。
しかし、もちろん、その背後には「単なる綺麗事」では済まされない事情があったのです。
当時、ベルカ世界では「第一戦乱期」が終わって、「ベルカ式魔法」の急速な体系化が進む中、各国は戦闘用の「デバイス」の開発に鎬を削っていました。
そうした中、バレロス王国は「高出力デバイス」の研究開発において周辺国を大きくリードしていたため、その研究データが周辺国に漏洩することを怖れて、(ベルカから見て)遠く南方にある「聖王家直轄領」よりもさらに南方の、彼等が独自に発見した「はるか辺境の世界」にまで、交易船に偽装した艦で繰り出し、その世界の南半球にある無人の大陸の中でも、周囲の地形を変えてしまっても全く構わないような「一面の荒野」を選んで、「六台の実験機」の高出力実験を始めたのです。
結果として、数多くの貴重なデータが得られましたが、同時に、それら六台の実験機はいずれも普通の戦場ではとても使えそうにない「
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