【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第9章】バルギオラ事変の年のあれこれ。
【第3節】新暦89年の9月以降の出来事。
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んでした。
しかし、トーマはガルムスとロミアの話を聞くと、不意に思い出して、今さらながらユーノに「近親婚の悪影響」についての不安を訴えました。
昔、彼が両親から聞いた話をまとめると、『タルースとファリアはそれぞれに結婚して1男1女をもうけたが、タルースの息子とファリアの娘が結婚して生まれたのが、トーマの父親であり、逆にファリアの息子とタルースの娘が結婚して生まれたのが、トーマの母親だった』とのことです。
つまり、トーマにとっては、単に両親がイトコ同士で結婚しただけではなく、父方の祖父母も、母方の祖父母もイトコ同士で結婚しているのです。
ユーノは一瞬だけ妙に深刻そうな表情を浮かべましたが、またすぐに『イトコぐらいなら二〜三世代続けても、大したことにはならないはずだから大丈夫だよ』と言って、トーマを安心させました。
それでも、トーマの表情はまだ晴れません。
「それに、自分の曽祖父母の実兄が、実は、悪辣な人物だったというのも……何と言うか、聞くだけでも嫌になるような話ですよね?」
そんな溜め息まじりの声に、ユーノは随分と親身になって応えました。
「まあ、気持ちは解るけれど、そういうことも、あまり気にしなくて良いんじゃないかな。現実に血のつながった親子や兄弟でも、似ていない人は本当に似ていないからね。
僕の父親も、僕が生まれる前に死んだと聞くが、どうやら相当な『ろくでなし』だったらしい。それと、こちらは『とある友人』から聞いた話だけど、彼が幼い頃に世話になった人物も、本人はとても素晴らしい人格者だったのに、その人の実兄は正真正銘の『人間の屑』だったそうだよ」
もちろん、これは、クロノから聞いた「ニドルス・ラッカードとヴェナドゥス・グルゼム」の話です。
「それでも、その屑の一人娘はヤクザ者だった親たちには似ず、立派な『真人間』になって親とも絶縁し、後に幸福な結婚をして2男2女の母になって、今ではもう孫たちに囲まれてとても幸せに暮らしているのだ、と聞いた。……まあ、世の中、そんなものだよ」
ユーノはまた、続けてこう語ります。
「そもそも、これは『三年前に、君から提供された情報に基づいて始めた調査』だったから、その結果を『君にだけ伝えない』という訳にもいかないだろうと思って、今こうして伝えているだけであって……。
突き放すような言い方になって済まないのだけれど、本来ならば、グレイン会長の正体がどうのこうのなどという話は、今さら君が知る必要など全く無いはずの話なんだ。今ではもう、君はごく普通の一般市民なのだから」
「確かに……そうですね」
トーマは少し時間をかけて、ようやく納得し、心も穏やかに独りミッドへ帰りました。
以後、彼はもう、自分の両親や祖先
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