【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第9章】バルギオラ事変の年のあれこれ。
【第3節】新暦89年の9月以降の出来事。
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人で完全に行方をくらませました。
一方、CW社の会長「グレイン・サルヴァム」には、昔から年齢詐称疑惑がありましたが、実のところ、彼の死亡時の年齢は公称どおりの80歳ではなく、少なくとも「肉体年齢」は、おおよそ95歳ぐらいでした。
(グレイン・サルヴァムの素性に関しては、管理局が何故か「特秘事項あつかい」にしていたために、さしものユーノも調査に手間取ってしまったのです。)
また、一般に『アヴェニール家の人間は、一人残らず死んだ』と考えられていたため、トーマの許には何も連絡が行かなかったのですが、実は今年の夏に、かつて同じ時期に同じ土地で死亡したタルースとファリアの「30回忌、祀り上げ」がありました。
ユーノは事前にそれを知ると、「不確かな推測」に基づいて、ダールヴを医療技術者とともに現地の墓地へ急行させ、「廃棄寸前の」タルースとファリアの遺体からDNAを採取して来てもらったのですが……。その後、それを〈モグニドールの惨劇〉の際にグレインの遺体から採取されたというDNA情報と照合してみた結果、ユーノの「推測」どおり、グレインがほぼ100%の確率で「タルースとファリアの実の兄弟」であることが判明しました。
グレイン・サルヴァムの正体は、実は、ガルムス・アヴェニールだったのです。
さて、ヴァイゼン人には(ベルカ人と同様に)特徴的な「遺伝子マーカー」が幾つもあるのですが、グレインのDNA情報には、それらのマーカーが全く見つかりませんでした。つまり、『グレインは本来、ヴァイゼンの人間では無かった』ということです。
また、言語学的に見ても、「グレイン」はヴァイゼン共通語の人名とは思えません。そこで、ユーノは『もしこれが偽名でないのだとしたら、「グレイン」は一体どの世界の名前なのだろうか?』と考えて、あれこれと調べているうちに、「GULEIN SARVAM」という名前が、実は「GALMUS AVENIR」の文字を並べ替えて造られた偽名であることに気がつきました。
その段階では、それはまだ全く「不確かな推測」でしかありませんでしたが、今回はたまたまそれが大正解だったようです。
それならば、『鉱山事故を装って、アヴェニール夫妻を殺した』ことが、そのまま『グレイン・サルヴァム個人への復讐でもあった』というのも、うなずける話でした。グレイン(ガルムス)には妻子がいなかったので、当時、一番近い親族は、彼の孫甥と孫姪に当たるアヴェニール夫妻だったからです。
なお、ガルムスの「上の妹」であるロミアは、三十ちかい年齢で「未婚の母」となった後、四十代で母子ともに死亡したようです。
一説によれば、子供の父親は実兄のガルムスだった、ということですが、その子供が見つからない以上、真偽のほどを確認する手段はありませ
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