【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第9章】バルギオラ事変の年のあれこれ。
【第3節】新暦89年の9月以降の出来事。
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イントの20回忌でクイントの両親と会った時のことを思い起こしていました。
聞くところによると、新暦80年9月にカルナージで合同訓練をした際には、ファビアもこれを指摘したそうですが、クイントのクローンは三人もいるのに、その中で「子を産める体」を持っているのは、ノーヴェだけなのです。
(ギンガとスバルは「素のクローン」なので、オリジナルのクイントと同様に、遺伝子の異常によって先天的に卵巣が機能不全を起こしてしまっているのです。)
クイントの両親にも、できれば「遺伝上の孫」の顔を見せてあげたい。ラウロとカーラに会って以来、ノーヴェは心の片隅でそんなことも考えてはいました。
考えてはいましたが、正直な話、良い相手が全く見つかりません。
「実のところ、大半の男は、うちの父さんに比べると、見劣りするんだよなあ」
「昔、ファラミィがよく言ってたけど、やっぱり、自分の父親よりランクの高い男を求めるのは、女性として当たり前の欲求なのかなあ?」
ヴィヴィオは、魔法学院時代の「普通の友人」の名前を上げながら、そう問いました。ノーヴェに問いかけていると言うよりは、半ば自問しているような口調ですが、彼女には最初から「父親」がいないので、今ひとつピンと来ないのです。
「まあ、『何をランクと考えるか』も個人によって違うだろうし、何であれ、欲を言い出すと、際限は無いんだろうけどな。……ところで、そういうお前はどうなんだよ? 当局の認可とかは、もうとっくに下りてるんだろう?」
ヴィヴィオは昨年の4月に同性婚をしましたが、その半年後、昨年の今頃には、もう認可は下りていました。あとは、単なる仕事の都合と気持ちの問題です。
要するに、書きかけの論文もまだ大量に残っており、母親になる「心の準備」もまだ全くできていないのです。
ヴィヴィオ(20歳)はやや言い訳めいた口調で、そうしたことをノーヴェに説明したのでした。
また、同じ10月の下旬に、カレル・ハラオウン准尉(17歳)は、上官らとともにベルカ自治領の聖王教会本部へ赴き、「騎士団総長」カリム・グラシア(42歳)の許を訪れていました。
先日、バルベリオ元騎士団総長が74歳で死去したため、(葬儀そのものは諸般の事情により、密葬となったのですが)管理局からも弔意を示すために「それなりの階級の将官」が教会本部を訪ねたのです。
(カレルは、単にその随行員のうちの一人でした。)
そして、上官たちが「奥の間」でカリムと話し合っている間に、カレルは「控えの間」で、シャンテやディードと再会しました。
この面子でじっくり話し合うのは、カレルが中等科の時に学校行事のキャンプでやらかして以来のことになります。
「准尉とは、また
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