暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第9章】バルギオラ事変の年のあれこれ。
 【第3節】新暦89年の9月以降の出来事。
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、見かねたノーヴェが、メグミには『サトルのことは私に任せて、お前は一日、トーマと二人で遊んで来い』と言い聞かせ、トーマには『その日は朝から晩まで、お前はメグミのことだけを考えて、メグミのためだけに動け』と言い含めて、二人を家から追い出すことにしたのでした。
 幸いにも、その前日にはミウラの側から『少しお話したいことがあるのですが』とメールが来たので、ノーヴェは自分の側の事情を伝えた上で、『用があるなら、明日にでもこちらの家に来い。そして、育児を手伝え。(笑)』とメールを返しておきました。
 そうした経緯(いきさつ)があって、その日は、トーマ(23歳)とメグミ(19歳)が久しぶりのデートに出かけた後に、ミウラ(22歳)がヴィヴィオ(20歳)を伴って、ノーヴェ(戸籍上、27歳)とサトル(満5か月)の許を訪れたのでした。

 ミウラは今も、双子のファルガリムザ姉妹(17歳)との同居生活を続けていました。
 それで、リグロマ(32歳)は『私から直接に頼んでも、なかなか素直に聞いてはもらえないだろうから』と、その姉妹を(つう)じてミウラに、ノーヴェへの言伝(ことづて)を頼んでいたのです。
 ミウラは『昨年には、アンナが引退して、ジュゼルが初出場して』とか、『ファルガリムザ姉妹は、去年に続いて今年も上位入賞を果たして』などといった「ナカジマジムの現状」を長々と語りましたが、要するに、リグロマからの用件は「ノーヴェへの復職の勧誘」でした。
 確かに、ノーヴェの側には『途中で会長職を投げ出してしまった』という「()い目」があります。正直なところ、リグロマに対しては『いきなり何もかも背負わせてしまって、申し訳ない』という気持ちもあります。
 しかし、それでもなお、ノーヴェの中には「復職」という選択肢はありませんでした。ただ、『その理由を言葉で説明しろ』と言われると、ノーヴェ自身も困ってしまいます。

「私も決して弁の立つ方じゃないから、言葉では、自分でも自分の内面をあまり上手くは説明できないんだが……まず、ひとつには、この体の問題だなあ」
「え? もしかして……もう昔のようには動けないんですか?!」
「いや、そんなことは無いよ。リハビリは完璧にできた。ただ……私の体は元々、半分以上が機械で……四年前の一件では、生身の部分も相当に傷ついたから、自分の細胞から培養した臓器とかで補って……結局、体積で言うと、全身のほとんど『三分の二』ちかくを一度に取り替えたんだけどな」
 ノーヴェはそこでふと自分の右手をじっと見つめて、指を閉じたり開いたりしながら言葉を続けました。
「それ以来、自分でも時おり思うんだよ。例えば……もう見分けはつかないけれど、この右手は、昔の右手とは『別の右手』なんだなあって」
(ええ……。)

「だからどうした、と言われると
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